思考力

未完成の成熟期

重い。とにかく重い。以前書いていた小説を、年単位寝かせておいた状態から再度書くには、あまりにも時間が過ぎ去っていて、意識そのものが当時の観点からの文章とは、非常に離れてしまっている。みかん箱の上を机に筆を進めていたような作家たちは、これよりももっと苦しい思いをしていたのだから、アマチュアの端っこに毛が生えたような私が、文章を創造するのがなんらツライと言ったところで、誰も相手にしてくれないどころか、反感さえ買ってしまうであろう。

数年前に書いて温存していた作品を、改めて読み返してみると、あふれんばかりのエネルギーを注ぎつつ、怒涛の勢いで書き綴っていたことが分かる。自分の書いた文字を追えない。一般の人が30人くらいいて、その中の一人くらいが、作品の裏側を理解できるような物語。こんな文章に時間と金を割く人も奇異だと思うので、初期投資費用の要らない”note”で販売することにしよう。

句読点を打つか打たないか。ここの部分は、平仮名ではなく漢字にすべきでは。このような微細な部分までこだわり出してしまい、完全な物語が出来上がらない、しかしながら、そこに意識が向かなくなってしまえば、私の文章は、ただの文字の羅列で終わってしまうのである。それだけは絶対に避けたい。力強い文章というか、他者の心の奥底に響かせる何らかの音源とはなんだろうか。そこに意識を向けて書かなければならない。そのような的を見つめ続ければ、大きく失敗することは決してないはず。

この物語は、未完のまま終わりになってしまうのであろうか。はたまた、何らかの力が加わって、どこかで日の目を見るのか。いずれにせよ、自分の作品とのがっぷり四つの戦いは、まだまだ続くはずである。

-思考力