思考力

雑音を抜いて聞こえる風

東京に一泊している間に、スケボーが一台玄関に置き配してあって、さらに、カスタムパーツが二箱送られてきていた。東京にいる間は、ずっとずっとスケボーのことばかり考えていて、電車の中でも、必死になってスケボーのカスタムのサイトを眺め、メルカリで安いパーツを血眼で探す。さっさと千葉に戻ったら、もらった薬や重要書類を整理して、すぐさま解体結合作業に取り掛かった。もはや、ここまでくると、仕事の領域にまで達しているのではないかとも思うし、仮にスケボーカスタムが専門のライダーになれたとしたら、そこには趣味と実益が伴うわけだから、願ったり叶ったりということになる。

東京では、夕方に「渋谷ハチ公前」で待ち合わせをしていた旧友と再会する予定だったのだが、スマホがどこにも行方不明になってしまい、運も尽き果てたかと思いきや、リュックの開くはずもないチャックの袋の奥に、我がiPhoneは、眠っていた。これが見つからなかったら、八年ぶりに会う人と、二度と連絡が取れなくなっていたかもしれなかったのだ。夕飯は、とりあえず豪勢とまではいかずとも、チェーン店ではない、オリジナリティーがある店が良かったので、「食べログ」にて、評価が高かった肉料理屋へ行った。焼肉でもステーキでもない、「肉寿司」がメインの店だった。

これが、とにかく美味。久しぶりに会った旧友とも大いに盛り上がったのだが、私は頭を骨折して以来、アルコールを一滴も飲んでいないし、向こうも大病を患っていたらしく、酒は飲まなかった。こう考えると、自分たちの年代では、老化や突発的な事故で、大きな後遺症が出てくる者も多い。情報通の友人だったので、かつてのクラスメイトの情報を、マシンガンのように話まくし上げられて、正直、最後の方は聞き流す程度になってしまったが、お互いの意見が一致したのは、「この店は大当たり」ということだった。肉とライスを別に食べるのではなく、シャリの上に乗っているネタが新鮮な肉。これが大変うまいのだから、とても良い日になった。

ホテルに一泊し、気持ちの良い朝とともに病院へ受診をし、医者からも「元気が良さそうだ」と言われたので、しばらくは宿泊することはせず、午後一番の予約をして、1日で受診するという方法で行くことにした。これが、うまく行くか否かはわからないけれども、さすがに毎回ビジネスホテルを利用すると、財布に強いダメージが来てしまうものだ。でも、精神科の受診に関しては、絶対にせに腹は変えられないという意識でいるので、これを非難するような輩がゴチャゴチャ言ってきたところで、そんなことはただの「雑音」だと処理しておけば良い。

日が長くなってきているとは言え、まだ2月。とんでもない暖冬だが、暗い中でスケボーをするほどリスクは背負いたくない。けれども、今も机の横で仰向けになっている4台のスケボーに乗りたくてウズウズしている。今回の設定が、とてもうまく行ったので、明日は微調整をしたら、海岸へ直行して、そのまま沿岸の駐車場で思いっきり板を蹴り込んでいきたいと思う。こんな遅まきながらの青春も悪くないのではないだろうか。人生一度きり。誰の指図も受けずに、自己満足の人生をいかに切り開けるかというのが、人生の羅針盤になるのかもしれない。

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