思考力

骨と神経と財布がササクレ立つ

今のマンションでの最後の粗大ゴミ回収日。何往復もして大きなモノを運んで行く。東京から持ってきたモノも少しはあった。

東京では、プリンターすら居場所の無い6畳程度のワンルームで風呂なし・ガスなしのプレハブ小屋。2階にある部屋へ昇る階段は、非常階段用の錆びたアルミのステップでセンターは凹んでいる。近くに銭湯があり、そこに併設してあるコインランドリーに洗濯物を入れて、乾燥機に移す時間を計算してタイマーをセットする。タイマーに気づかずにコインランドリーが閉まっていれば、翌日には我が衣装が「迷惑な客」というシールを貼られた袋に詰められている。なんせ洗濯機5台に対して、乾燥機2台だからメーワクと言われても仕方がない。一瞬の隙をついて外国人が私の洗濯物を取り出していた時には、「ワタシはアナタのセンタクモノカンソーキにイレヨウトシタダケよ」と言われて、その乾燥機代も支払ってくださるのか首を傾げるしかなかった。だから、多少の生乾きで会社に行っていたのだが、明らかに臭い。若い女性講師陣は言うに言えずトラウマになっていたはず。生徒にも塾長にも「洗剤、何使っていますか」という質問。指摘してくれたのは当時、一番親しい女性だった。彼女も言うに言えずにいたことだったので、相当ヒドイ悪臭を放っていた。

pastedGraphic.png多く所有しているようで結構少ない服。着回し上手。着込むほど味わいが出るアイテム多し。

 

千葉に引っ越して、最初に仲良くなったのはコインランドリーのおばちゃんスタッフ。洗濯機の衣類を乾燥機に移してくれるというスペシャルサービスのナイスなお仕事をなさっている。先日、ゴーヤをいただいたときに「あなたは初めて来たときは自転車で来ていたのよ」という言葉に目頭を熱くしてゴーヤチャンプルを食べた。旨かりし。そして地元には、もう一人気兼ねなく話をできる床屋のオッチャンがいて、その二人からは貴重な地元の情報をたくさん仕入れさせてもらった。最近わかったことは、その二人は元同級生。仏教の用語で言えば「縁」。教会で「縁」「縁」「縁ですね」と連呼していて最終的に教会に招待してくださった恩師に、「縁という言葉は仏教の言葉だから教会では絶対に言ってはいけない言葉なのよ」と強く言われ、生乾き臭よりはるかに失礼なことをしていた無知な自分がいました。言葉とニオイには最大限の注意を払うべきだ。

pastedGraphic_1.png頭から洗濯すべきだったスメハラ野郎

東京では、非常階段より不安定で塗装が擦れて錆びた階段で、つま先を上げきれずに足の親指から垂直に着地して、一階の無人の駐車場でネズミ花火のようにグルグル回っていた。人間は、本当に痛みを感じると走るようで、闘争本能ではない「逃走本能」でも働くのであろうか。しかも、医者に行く金をケチって、紫色に変色したキレイなぺデュキア状の親指を湿布とテーピングで巻いてサンダルを履いて出社していた。痛みは耐えられても、日を増すごとに足の親指は肥大して靴を履ける日が来ないと察知し、5日ほど寝かせた足の親指を医者に診て貰えば、レントゲンを撮る前に骨折という診断。その瞬間に一気に肩の力が抜け、痛みがグングンと増していく。レントゲンの結果、噂には聞いていた「剥離骨折」で、治療とリハビリの日々が続いて財布の穴から余分な出費が生まれた。医者からは、「今の足の指の状態は、枝をバキッと折ってササクレが立った状態です」と診断されて心の穴から生起が抜け、「よく数日間歩いていられましたね」と「どうすれば足の親指を骨折できるのですか」という2つの質問があり、横にいた二人のナースはカタワレ時の三葉のように吹き出していた。

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そう考えると千葉のコスパ最高だ。車に洗濯物を入れて、洗濯が終わる時間まで自由に用足しができる。車の荷室に来客用の布団を敷けば、わざわざ車中泊グッツなんてなくても「出費ゼロ」でグースカ寝れる。目が覚めたら編集や記事作成。お金より大事な「時間」が手に入る。誰も買うことができない1日24時間という制限時間を有意義につかえる。

そして、もともとモノを置かないように心がけていた我がマンションの各部屋も、意外と捨てるものがあり、どんどんモノを捨てていけば、デッドスペースだらけだと思っていた部屋が、さらに広くなった。結局、生活のために使っていた部屋の面積なんて、半分以下。いや、三分の一以下。カラダを酷使して寝るだけの為に家賃を支払っていたのかと思うと、自分の知識不足と相場を調べる努力不足を痛感する。東京で駐車場を借りていたと思えば、少しは慰めにもなる。コロナの影響でリモートワークが加速している中、価値観の差こそあれ、移住生活に憧れを抱いているのに踏み切れずにいるだけならば、都心の市場価値が暴落している中で、自分自身も自滅するという事実も念頭に入れなければならない。

千葉の家賃相場を知っている人は、私の家賃を聞くとビックリして早く引っ越すことを強く勧めていた。私のことを貧乏人扱いして、マンションに貧乏人が住むなんて贅沢だと馬鹿にされているのかと内心腹が立っていたのだが、事実、私の家賃より遥かに安価の物件がゴロゴロあった。やはり、落ち着いて人のアドバイスを受け容れることが大切だ。しかも、自分のブログの過去の記事にも「アドバイスを受け容れろ」という内容を書いていたのだから、大恥だ。

pastedGraphic_3.pngデッドスペースにシングルベッド。この部屋だけで生活できる自信あり。

そして今から、Apple Store並みのシンプルかつ広いだけの空間から脱出する。もともと使用していない部分に疑問を抱いて、そこに浪費があるなら、次の一手を素早く判断しなければならない。いつでも引越しできる状態だったのにグダグダしていたばかりに、LEDに替えていないで毎月の固定費を考えず、ブレーカーを落とす立ち合いをした業者に言われたことは、「LED電灯ではなくて、こんな蛍光灯だらけの部屋で過ごしてたなんて、毎月一ヶ月でエアコン1台分消費しているようなもんだよ」とのこと。電気代が高いと思っていた原因がこんなところだったとは…。固定費には細心の注意を払うべし。授業料だと思う以外、自分を癒す術は無い。

もぬけの殻と化した今のマンションから、安い賃貸物件に引っ越す。とは言え質素なアパートではない。今度は夢の一戸建て。交渉次第で家賃が下がるというコミュニケーション力が決め手となった。ゴミ屋敷で生活している人は、まず断捨離。汚れた部屋の人は、とにかく掃除。敷金丸ごとバックを目指してもぬけの殻にする。そこで初めて引っ越すかどうかを決めてみてはいかがだろうか。

pastedGraphic_4.png脱出待機ルームだけでも生活する自信あり。

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