思考力

甲羅の外の光

ふと目を覚ます。カーテンからの優しい光と、スズメの鳴き声。空気は少し冷えている気がする。これは、私が迎えた久しぶりの爽やかな朝であり、歯ブラシを咥えながら外に出ると、朝なのに忙しくない優しい風に身体が包まれていた。GWだからなのだろう。薬の副作用だろうが、あまりの寒さにダウンジャケットを着ながら寝ているが、この時期になると、どうしても寒さから解放されることはない。ただ、ダウンジャケットを着ようが、ウェットスーツを着ようが、戦闘服を着ようが、第一に睡眠薬を服用することが一番大事なことなので、少しくらいの寒さに耐えるなど、案外たやすいものだ。

ここまでグッスリ寝て、キチンと覚醒すると、とても気分が安定する。もし、誰かと待ち合わせでもしていたのであれば、今日の活き活きとした私の姿に、違和感すら感じるかもしれない。人生における最近の心の歯車は、全体の流れ同士の溝がピタリと噛み合いつつ、凄まじいパワーと共に、徐々に徐々に速度を上げている感覚だ。一年以上続いた金欠だったが、それも間も無く解消できる。早く、返済したい。身をきれいにして、楽しい人生を歩むためにも、心も身体も軽くしておく必要がある。そして、今の私なら、それが可能なのだと思う。いや身がきれいになって、充実した人生の航路を歩み直せるのだと少なくとも思い込むべきだ。

「転籍苔むさず」。今日は、東京へ物件を見にいこうと思っている。車の所有ができなかった、この一年。私の住む外房での自転車生活は、本当に骨が折れた。実際、頭蓋骨二箇所も骨折している。この地には、大きな道路があり、そこから出てくる車に、幾度、轢かれそうになったことか。信じられないことに、パトカーと正面衝突しかけたこともある。やはり、少し栄えた外房の市街地での自転車移動は、極めて危険だ。身体ごと引っ越してしまえば解消されるところだが、先立つものが用意できるのかが、一番気になるところだ。

ベストなのは、今の場所で車を所有しつつ、適度な仕事を無理なく継続すること。つまり、「FIRE卒業」のような生活を送ることだ。自転車よりも、自動車の方が安全という奇怪な交通状況の街だが、このまま住み続けるのであれば、車での生活がベストであろう。あとは、東京の安い物件に引っ越すことも選択肢に入る。この恩恵を受け取るためには、今住んでいるアパートと同じような間取りでなければ駄目だと感じている。しかし、今の家賃のまま、さらに今の間取りのままの都内の物件で、バストイレ別・騒音の少ない鉄筋コンクリート造の物件など、今の家賃の2倍はするだろう。やはり、住処というのは、とても大切である。

空に閉じこもっていたヤドカリであれ、少し外界の空気に触れたことで、色々と気持ちにゆとりが出て、様々な選択肢があることに驚く。仮に、これが土砂降りの雷雨の日で、起きるのも苦痛な朝であれば、真正なヤドカリとしてMacを弾いていただろう。やはり、心と体と考え方というのは、とても密接に絡み合い、繋がっているのだ。

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