思考力

指遊び

現在、朝9時20分。普通の会社員が、ほとんど意味をなさないような部署のミーティングが終わる頃か。席について、鬱屈とパソコンを開いて退社時間までの無味乾燥な仕事のスタートの時間。私は、快適な自然音を聞きながら起きる。昨日に引き続き、爽やかな朝陽を拝む。ポジティブな火曜日の朝だ。11時間以上の再生時間があるYouTubeの森の中の癒しの音楽の視聴時間は、8時間を経過していた。こうやって、睡眠時間の長さを測定している。

「睡眠は人生の3分の1を占めるからこそ、睡眠にはこだわるべき」。こんなことを、よく耳にするようになった。全くもって正しい意見。人生を「楽」に過ごしたいのであれば、眠りの質を高める方法を追求することが、極めて重要と言える。風邪をひいた時などに「抗生物質」を服用することは、極めて身体に有害であることが明らかになった。病気になれば、何をやるにしてもパフォーマンスのクオリティーは、著しく低下することは間違いない。また、コロナのワクチンであっても、外から中へ摂取し、その反応で、身体の免疫力を高めるわけだから、元々の中身の身体自体が弱っている状態であれば、逆に危険になってしまうかもしれない。まさに「本末転倒」の事態を招きかねない。

また、脳を活性化させるための手段として、指先を動かすことも推奨されている。「手は第二の脳」と言われるほどだ。睡眠同様、とても重要な指先の運動。今こうやって、指先を動かしてMacのキーボードを、「北斗百烈拳」の如くカタカタと打ち込んでいるアクションは、脳を活性化しているはず。現代の子供たちは、あの謎の「眉毛漢」の存在を知っているのかは不明だが。私が小さい頃は、カルタやベーゴマ、お金がある子供はプラモデルなどを作って、指先を動かしていたものだ。「ミニ四駆」と呼ばれるプラモデルのミニカーを改造することがブームとなり、いかに速くその車を爆走させるかを競い合っていた。それを取り扱った店は大繁盛し、エンタメテレビ番組の一部のコーナーでは、そこを放送する枠が設けられたりもしていた。

今でも、ミニ四駆の改造に没頭していたら、間違いなくニッチな分野を極めているわけで、もしかするとYouTubeで専門チャンネルを作ってアップロードし続けていたら、結構イイ線をイケるかもしれない。「ブルーオーシャン」かも。ただ、そんな世界最小であろう車の改造のブームの再来を期待し、淡い夢を抱くよりも、すでに「レッドーシャン」のゲーム実況をした方が、再生回数を稼げるだろう。ちなみに、私は、ゲーム実況の動画なるものの存在を聞いたことはあるが、観たことは無い。今、世間一般では、「マインクラフト」なるものが大流行しているようだが、仮に、それを「食べ物の名前」だとウソを言われても、そのまま鵜呑みにしてしまうだろう。

ただ、ゲーム実況をしながらコントローラーを指先を動かすという行為は、脳を活性化させていると言えよう。なんでも、その「マイクラ」なるゲームは、仮想通貨ならぬ「仮想世界」を構築していく遊びらしく、いろいろなブロックを組み合わせて、自分の世界を作り出していくらしい。詳しいことはわからないし、特段に知りたいとは思わない。あまり熱中しすぎると、簡単に昼夜逆転して、没頭し過ぎたて安物の椅子に座り続けていたら、腰を悪くしてしまいそうだ。

そう考えると、昔の遊びというのは、身体に良い。私は、80年代の大傑作『キン肉マン』に完全に魅了され、キン肉マン消しゴム、通称「キン消し」と言われる、文字を消せない消しゴムをコレクションしていた。これまた、今やどこの駄菓子屋でも置いていない「ガチャガチャ」というマシーンに、少ない小遣いを投入して、祈りを込めてノブを回すことに夢を抱いていた。そもそも、今、駄菓子屋なんて存在するのだろうか。お年寄りが新聞を読んで、駄菓子をもっていくと、金庫からお釣りをだし、お互いにニッコリするということもないくなった。そのような意味では、世知辛い世の中になってしまったものだ。

そういえば、携帯電話の普及により、自宅の固定電話も今や家庭から消える方向へ向かっている。固定電話が普通だった頃は、あまり良いことではないが、「いたずら電話」などが流行ったし、歌の歌詞のワンフレーズにも「無言電話〜」などがあった。正確な時刻を知るために、すでに数字さえ記憶から消えたが、三桁の電話番号で時間を知るようなことをした。もちろん知ろうと思えば、時計を見ればすぐに知ることはできるのだが、興味本位で受話器を持って耳に当てていた。

電話といえば、私の家は、指を穴に入れてクルクルと回すタイプの「黒電話」だった。だから、ボタンを押して電話番号を入力する電話が来たときには驚いたし、留守番電話を導入したときには、留守番電話に慣れていない人が、声を震わせて録音記録を残している様子を聴いていた。全然留守ではないのだから、これも平たく言えば「いたずら電話」なのか。その後に登場した「ダイアルQ2」なる番号に電話をすると、女性の卑猥な声が聞こえてくる、思春期の男子には刺激的であった。ただ、有料電話であり、気を抜いた私の友人が、受話器を完全に置けていなく、後日、高額な請求が来たという、今となっては笑い話になる「深刻な事件」もあった。

女の子は、「リカちゃん人形」で想像のおままごと遊び、男子は、「キン消し」で架空バトル。そう考えると、デバイスが変化しただけと言えるのだろうか。若者に、「この漫画のキャラも知らないんですか?」などと馬鹿にされたら、「このキン肉マンの超人キャラを知っているか?」と言い返そう。ここで、やはりジェネレーションギャップで、若者と話が合わなくなってしまう。こうなると、塾での雑談は、若い講師の方が有利になってしまう。ただ、自分のエピソードを振り返り、それを若い人たちに上手く説明すると、その子たちは興味をもって話を聞き入ってくれる。これは、人生経験が長い講師の特権と言える。

先生が「生徒指導」「進路相談」をするときに、やはり、その先生のキャリアが良し悪しを決めることが多く、その教え子の今後の行く末を予想するためには、それまでの経験が大切だ。最新の情報と過去の経験を照らし合わせることで、説得力は増し、生徒が動揺していたり、こちら側を煽ってくるような場合でも、そのムードをピタリと取り捕まえ、より良い方向にステップアップするべき将来の場所を考えられる。

今、爽やかな朝の寝室で、ボサノヴァを聴きながらMacBookのキーボードを叩いている。スタバで優雅に朝活をしているビジネスパーソンの気分。自分の進むべき今後の人生の方向は、今までの自分が教えてくれる。もう、そのような自己管理ができるような段階に入ったことが実感できるようになった。

 

 

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