我ながら驚いている。釣り針と釣り糸を結ぶという作業に、どっぷりとハマってしまった。自分にとって、これほど夢中になれることがあったなんて、驚きである。スマホゲームで熱中したり、スマホで周りが見えなくなるほど画面を見つめたり、ストレートネックを犠牲にしてまでスマホと睨めっこをしている人たちと同じ。ここまでくると、まさに「結び依存症」である。
昨日も、昼過ぎから、夜の9時まで没頭し、その後、風呂に入ってから釣り動画を観て、床に就いたのは、夜の2時を回っていた。現在、朝の8時。そして、起き抜けにも、完全に目が覚めやらぬまま、釣り糸を結んでいた。やはり、ここまでくると、異常である。釣りそのものよりも、釣りの仕掛けを作るという、今まで面倒でしかたなかったことに、没頭しているのだから。
このような依存状態が、私の釣りに対しての趣向を変えることとなった。サビキ釣りで荷物と汚れを気にしながら釣りをするのではなく、お手軽な装備を身にまとい、ランガンするスタイルの小さな擬似餌を使ったルアー釣りに転向しようと思うほどである。移住してから、ミニマリスト的な考えが定着し、モノを多く持つことに嫌悪感を抱くようになったので、釣り糸を結んで、釣り針にヒョイとワームを引っ掛けて釣るというスタイルに傾倒し始めた。なんとも、人の気持ちというのは、思わぬ方向へ、思わぬところで変化するもののようだ。
昨晩から、今朝にかけて、大雨が降った。被害が出ている地域も多い。私も、大雨で車を水没させたという苦い思い出があるので、被災者の方々の気持ちは、とてもよく分かる。そんなナイーブな心であっても、没頭できる何かさえあれば、一時的にであれ、悲しみから解放されることができる。私の中に閉じ込めてしまっていた「何か」を、今こそ解放すべき時なのかも知れない。