思考力

月光から朝陽へのコントラクション

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最初の目的は、何だったのだろうか。グツグツと煮えたぎる野菜の鍋を眺めながら考えてみる。最近の物忘れは酷い。手帳に書いている固有名詞の予定が、何の為の予定だったのかすら思い出せない。何のために目的地に行くのか思い出しながらハンドルを握りつつ、脳みその奥底にあるはずの記憶の引き出しから引っ張り出している。そうなると、予定がパンパンに入っている日もあり、対応してくる人間のお粗末さばかりが妙に気にかかり、攻撃的な態度になってしまうことも多々ある。今の自分は、「時間泥棒」に対して異常なほど過敏になっている。多少のミスであっても客商売をする者の愚行は、見逃すことはない。これは、不動産屋の闇を暴いているうちに取り憑かれた恐怖心でもあるのだから、ある意味で考えると、非常に肝が小さいということでもある。

最近の早朝覚醒も酷い。まだ陽が昇らぬうちに目が醒めてパソコンを動かしながらキーボードを叩いていれば、ウトウトと気持ち良くなり、モーニングBGMが見事に子守唄となる。人間の睡眠サイクルの90分後に椅子に座りながら目が醒めて、清々しい朝陽をようやく拝めるという結果になる。ただ、今朝の起き抜けのYouTubeで、大きく目を見張る動画で強い覚醒を得た。私の唯一無二の大学の親友が、YouTube関係の予備校動画でレギュラー出演が決定していたのだ。

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私たちが受験生の頃にカリスマとして授業をしていた講師と同じチャンネルで活躍することになっていた。24時間足らずで、2.2万回の視聴回数。私のチャンネルの視聴回数などは、5分足らずで追い超されているはず。大学の隣の席で授業を受けていたクラスメイトが、同じ予備校に通っていたことを知り、同じような考え方で教育業界に飛び込んでいった。私に足りず、彼に十分に備わっていた魅力は「タフ」さだった。この業界には、ライバルの実力を自分の糧としてエネルギーに変えて努力すべきところを、自分のポジションをそのままにしてこちらの足を引っ張って来る本当に情けないニンゲンが多数存在する。また、企業全体でも、飛び抜けて大きく何かを改革しようと意気込んでいれば、大きな圧力で押し潰しされ、飛躍するはずの可能性を秘めた才能を十分に発揮できない者も多くいる。そのことに絶望して辞めていくピュアな講師が後を絶たない。それこそ、私がアップロードしている動画にも、教育業界の闇を語っている動画がある。

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しかしながら、そのような業界であっても彼は闘い抜いた。彼はタフでありつつ“GIVE”の精神を決して忘れない優しさがある。10年以上前、まだスマートフォンなど普及していない頃、授業を質を高めるために彼の授業動画の撮影をしたいという自分勝手な私のワガママを、彼は快諾してくれ、分刻みのスケジュールの中に私の授業改善の為の授業を撮影させてくれた。さらに翌週には、私が彼の授業の良いところをコピーしつつ、自分なりにアレンジした物を披露させてもらいアドバイスを受けた。最終的には、彼の自宅そのものに黒板を設置してチョークも用意してもらい、快適な空間で授業ができるよう気を配ってくれた。そのような彼の周りにも黒いニンゲンはいたに違いない。それにも関わらず、彼は一戦から退かなかった。私と彼の間にある大きくて埋められることのできないタフさが、彼の魅力を倍増させているのだ。これは間違いない。

彼は自分自身を教育業界に投じて自分自身を煮込みに煮込んだ結果、恐ろしいほどの結果を出した。それは偶然ではなく必然。才能にいち早く気づいたのであるのなら、アクションを起こして実行し、その鍋の中でじっくりと自分の闘志をグツグツ煮込んでいけばいい。もちろん私は、彼ほど頑丈な精神を持ちわせていないのかもしれないが、年齢という意味において、私は彼と同じ時間を刻んでいる。私という具材で出汁をとって、自分鍋を創り上げることだって可能だとおもう。

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