思考力

指先で文字を追う

物価高が高騰している。取り立てて、自分にとって実感していなかったのだが、先日届いた「電気料金」が、明らかに高額だったので、その物価高騰の圧迫を受けたのかと思った。でも、それは落ち着いて考えてから分かったことで、まず、自分が消費している電力を疑った。10月の時点で、窓に断熱材を貼り、この冬を乗りこえられるよう、発電式のインナーダウンを買ったし、膝掛けだって、掛け布団だって、しっかりと真冬用の物をそろえている。でも、暖房をつけて寝ているので、やはりそれが大きな原因なのかもしれない。

最近では、電力会社も便利なサービスを設けており、アプリで簡単に、消費電力の数値を可視化し、前月、前年との比較ができるようになっている。去年より消費価格が三千円以上も高くなってしまっているし、この暖冬の証拠とも言える11月の請求金額なのだから、どこかに漏れがあるはず。その大元が、エアコンなのであれば、やはり改善策はあるのかもしれない。今、昼前に起きつつ書いている記事。窓を開ければ、太陽の光が入ってくるし、ドアを開ければポカポカだった。それなのに、エアコンを作動させたまま微睡んでいたのだから、注意すべき点はやはりあるのだと思う。

昨日、短時間睡眠で東京の精神科の受診をし、ふらふらになりながら渋谷の雑踏を歩いていた。渋谷でショッピングでもしようかと思いつつ、最近の物欲を刺激したくなかったので、この疲労困憊の状態は、今考えれば好都合でもあった。もちろん、体力が有り余っていたとしても、わざわざ東京で購入したアイテムを、千葉外房まで運ぶ気もないし、断捨離を続けて得た空白の床に置けるだけ価値のあるモノは、今の自分にはなかった。

千葉に戻り、これなしでは生きていけない薬を家に保管し、クタクタになりながらも、車を海辺に走らせた。こんなヘロヘロな状態でも滑りたい欲求が出てくる「スケボー」なのだから、自分にとって時間も労力も出し惜しみしてはいけないのだと思う。このような生きがいがあることは、別に誰ともコミュニケーションを取る必要もない自分にとっては、とても貴重なことだとも思っている。

十二月も中旬になろうというのに、アップルウォッチの気温測定数値では、「17度」と表示されている。記事を書きながら作動させたルンバも仕事を終え、濃いブラックコーヒーも冷めかかっている。冷凍宅急便が届き、ふるさと納税の返礼品のハンバーグだった。電動歯ブラシで歯を磨けば、ピリピリと痛みを感じる部分があって、高確率で虫歯だとわかる。東京の歯医者に予約を入れ、セカンドオピニオンを入れた千葉の病院の腰の診療日の次に、日取りを設けた。何気ない日々の中にだって、確実に変化はある。

面白いことに、今日はまだフラッシュバックが来ていないことに気づいた。なぜだろう。本当に分からない。体調によるものなのかもしれない。アップルウォッチの睡眠アプリでは、11時間近く眠っていた。でも、覚醒と深い眠りが、まるで大蛇の如くすごい振れ幅で交錯していた。昨日の調剤では、すぐに眠りに入れて、短い睡眠になるように調整してもらったのだが、全く逆の効き方をしていた。誰に文句を言うわけでもない。心の問題や、睡眠のリズム、体温の調節であっても、やはり自分では完全にコントロールできるものではない。今、キーボードを弾く指は、私がもはや無意識のうちにでも出せる脳からの指令だけれども、意識的に早めたり遅くしたりすることもできる。

目に見える器官と目に見えない器官。これは、意識的にできるかできないかを考える上で、とても重要な境界線となる。腰の骨が折れていると言う診断を受け、それが本当なのかという疑念をもち、違う医師のレントゲン検査では、骨折ではないということがわかった。これは、可視化できるから、誰からでも道場を得ることはできる。対して、可視化できない心のトラウマというものなどは、決して誰かに完全にシェアされることはない。そこに、完全なる同意や賛同を求めてしまうのであれば、それはただの「甘え」となってしまったり、他人からの甘えとも捕らえられてしまうことにもなりかねない。

このように考えると、誰かの心の領域に入るというのは、極めて慎重にならなければならないし、とてもデリケートな問題だ。そして、八方塞がりになってしまった人の末路が、最悪の結末だったと後悔したり、それを止められなかったとして自分を責めてしまう周囲の人も出てくる。可視化できない問題に、いかにして改善や攻略をしていくというのは、本当に難しい。私もブログの中で自分の心を探し続けているのだけれども、追い求めている何かが、いつも火の玉のように「ヒュッヒュ」と指先から離れてしまうような感覚になる。これを、文字の中で捕まえようとしているのだから、自分の内面を見つけ出そうというのは、とんでもない難題なのだ。やはり、生は不可解な謎に満ち溢れているのだ。

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