思考力

奪われない所

グイグイと、起床時間が後ろへ傾いていく。軽い頭痛、気分の落ち込み、腰も痛んでいる。天気は雨。気温も下がっていて、何やら憂鬱な気持ちに拍車をかけている。昨日、見知らぬ番号から着信があって、わざわざ折り返したら、自費出版会社からだった。数年前に原稿だけ送った会社が、それについて話がしたかったという。担当者は出てこなかった。こちらから出費する事は一切しないという旨の話をしたら、そそくさと電話を切られた。要するに、手当たり次第に電話をかけて、出版の意思を聞き出したら、契約に繋ごうという魂胆なのだ。そんな事はわかっているし、そもそも自分が心を込めて書いた作品を、下心で掘り返してくるという卑劣な考え方は、全く許す事はできなかった。

人の心というのは、何らかの原因があって、変化する。そこには、喜怒哀楽という言葉や、因果関係などという言葉だってある。ただ、今の私の心の中の乱れというのは、いまいち原因がつかめず、何に対して心の真底をかき乱されているのかが分からない。こうなってくると、やはり自分の中の不安という感情が浮き彫りになり、それが心の中を駆け巡り、やがて自分の中の陽炎のような負の要素が暴れだす。こうなってしまったら、もう何もする事なく、ひたすら時間が過ぎ去るのを待つだけなのかもしれない。いや、きっとそうだ。

「テイカー」に、容赦なく金品や大切な物を奪われてきた。そんな人間の心を、何とか危害を加えてこないように、ズルズルと付き合いを先延ばしにしてしまい、最後は身ぐるみを剥がされた。最後に捨て台詞を吐いて去っていき、熱りが冷めたあたりで近づいてくる。心を入れ替えたのかと思ったところで、結局はそんな輩は、根本から変化するなんてことはなく、こちらから切り取るかのように旨味を取り去っていく。そんなことを繰り返され、さらに別のテイカーが現れても、この人ならば、いつかは自分と同じ波長を出して付き合ってくれるだろうという期待を抱いてしまう。そして、奪えるものを奪って、暴言を吐き捨てて去っていく。こう考えると、問題は、相手ではなく「都合の良い私」なのだと思う。だから、今のように誰とも付き合いのない状態こそ、自分の心の環境を整えるのには、最適なのかもしれない。

過去を過去として捉えることができず、過去から波及した現在となり、未来を恐れるようになってしまった。今という時間の停止をできる術があるとすれば、眠ってしまうこと。眠れば、解放される。これまた、最近では悪夢に取り憑かれているという事実もあるのだけれども、もう自分の心を隠す場所というのは、眠るという中にしかないのだと思う。そこに安息の場所があるのであれば、そこに積極的に向かうことは、正しいことと言えるはずだ。

-思考力