思考力

吉勢

腰を痛めてから、酷いフラッシュバックに悩んでいる。やはり、肉体的な痛みを抱えるということは、精神的な状態にも関与するもので、怪我をして入院し、病院のベッドの上で天井を見つめながら、能天気な事を考えるのは難しいはず。だから、慢性的な痛みを抱えてしまうというのは、慢性的な心の痛みの再発や悪化を促してしまうというのも事実のようだ。今、ガーガーと音を立てながら掃除をしてくれているルンバのスイッチを押すのも、足の指でスイッチを押しているくらい前屈みになるという姿勢に恐れをなしている。全くもって厄介だ。

台風の影響で、私の住む水害の多い区域では、当然の如く甚大な被害が出てしまっており、いつどこでトラブルに巻き込まれるかわからないので、いつものように部屋で自宅警備員をしていた。玄関の汚れが気になっており、やはり風水の最も重要な玄関を整えなければ、いい運気など入ってこないのだから、しっかりと水拭きをする決心をした。本格的な水拭きは、1ヶ月をめどに行うといいようなので、そろそろそんな時期でもあったので、前屈する勇気と覚悟と共に掃除を始めた。

掃除や断捨離には「勢い」がとても大事で、まさに水風呂に入るかの如く、一度始めて仕舞えばそこからは早い。ただ、スプレー洗剤を多めに吹きかけてしまったので、いくら泡を落とそうとも拭き取れず、最終的にはポットの水を入れて玄関を水浸しにして拭き取ろうとした。そうすれば、物理的に考えて、玄関から汚水が溢れ出てしまうことは当然で、あれよあれよという間に水が隣に住む住人の部屋の玄関まで流れてしまい、そこまで水浸しになってしまった。

かなり大きな水たまりができて、全く無罪の隣の人の玄関の水が溜まったまま。掃除用ワイパーで拭き取ろうにも、全く追いつかず、どうしたものかと迷う。しかも、こんなときに限って、玄関周りが忙しくなっており、駐車場に車は無くなっていて、その方は外出して行ったようだ。逆の立場で、水浸しの犯人が分かっていれば、こんなに腹立たしいこともないだろうし、何とか帰宅されるまでには対処しなければならない。そこで、断捨離の時に念のため残しておいたバスタオルで、玄関を拭いた。バスタオルの面積は、およそ半畳くらいある物で、それを贅沢に使用したのだが、それでも全てを吸い取ることはできなかった。

部屋に溜まっていたペットボトルの処理は、眠れないときに行っている自販機の回収ボックスに捨てにいくのだが、やはり玄関を整えれば部屋のペットボトルも気になり、その「勢い」でそこまで捨てに行った。帰るや否や、滅多に会うことのない被害者の人と話をすることができ、玄関の水溜りの謝罪をした。そんなときに、玄関風水にハマっていて玄関を水掃除して引き起こされたアクシデントだという事を伝えたら、にっこりと微笑んでくれた。初めて会話らしい会話をしたのだが、とても気さくな人だということもわかり、やはり玄関風水が運んできた幸運でもあると解釈した。

断捨離をし、物を少なくする。そして、念には念入れて取って置いたものを使う時が来たら、惜しみなく使う。これは、今回の例を見れば、明らかに「吉」だ。そして、ほとんど処分していた「思考力養成予備校」の名刺も、その方の部屋の玄関ポストに入れた。この名刺の裏には、”English Lesson ticket”とサインをしており、もしこのレッスンを受けられたとしたら、その方も玄関の水たまりが綺麗になったという「吉」が舞い込んだことになるのかもしれない。あまりこじつけも良くないので、明日の燃えるゴミの日に私の名刺が消えていく事を少し心配しながら、今回のブログを終わろうと思う。

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