思考力

コールフォーワード

たとえ、使用するつもりが全くなかったとしても、机の上にスマホがあるだけで、人間の集中力は、数十%低下してしまうというデータがある。私は、とくだん誰とも連絡を取ることもないし、今日はとても久しぶりのラインメッセージを送ってくれた人がいて、その人がこのブログ読み上げ動画を視聴してくださっているという嬉しい報告があったくらい。だから、スマホの存在があったところで、自分の集中力は他の人と比べても落ちることはないはずだった。しかしながら、くだらぬアプリをダウンロードしてからというもの、なんらかの返信が来ていないのかが気になり出して、強迫神経症のような状態の手前まで来ている。実際、今、実際にボイスチャットできる時間帯ということで、その順番待ちをしながらキーボードをはじいている。

昨日、その機能を知り、さんざん待たされた挙げ句、2回コールがきたのだが、どのボタンをタップして良いやら分からず通話が途切れてしまった。そんな状態でずっとスマホを眺めていて、今日であってもコンピュータ様が、トークのお相手を探してくださっているようだ。やはり自分が課金したアプリに、これほどまでに苦戦するとは情けない。しかも、人間の集中力にはやはり限界があり、こうやって記事を書きながら横目でチラチラとスマホ画面を眺めていると、なんだかへんてこりんな文章が出来上がっている気がする。課金した分はもったいないと思いつつ、時間という買うことのできない資産を考えれば、このアプリの地獄から退出できるのだ。いっそのこと楽になった方がいいのかもしれない。

外出もしていないのだから、お腹にもたっぷりと贅肉が付いて、垂れ下がる下っ腹を感じながら、パソコンのキーボードを叩く。そこに外部から来るかもしれない通知と、昨日今日あったことの回想をしたところで、やはり建設的なことが思い浮かぶわけでもない。集中力が切れたことで、自分の思考が散漫になってしまうのであれば、それだけ自分の考えが鈍るわけだ。確かに、文章の表現としては稚拙なものになっているのだけれども、過去の忌々しい出来事を、つらつらと書き綴るようなこともしなくて済むわけで、こうやって考えてみると、自分がワインをガブ飲みしながらブログを書き綴っていた10年ほど前の内容と、なんら変わりがない内容になっているのかもしれない。

アルコールに酔い潰れて書き殴る文章。来るはずのないコールをどこかしらで期待しながら書くブログ。

と、書いていたら、何やら通話可能の表示が出た。こんな白けた状態で通話していると、どんな会話になったのかといえば、こちらも飢えたライオンでもないのでやる気のない対応となってしまった。通話するなり、スーパーのレジで「ビニール袋はどうしますか」というセリフと共に発せられる声色トーンと共に、とにかく自分のプロフィールに「イイね」を押して、そちらで通話をしようと言ってくる。制限時間5分という縛りからか、相手が焦っているのがよく分かる。そもそも初めてのシステムを利用するわけだから、使い勝手ややり方を教えてもらっていれば、通話の時間は刻々と減っていくわけだから、相手が焦ってくるのがよく伝わってくる。こちらも、投資を吹っかけるわけでもないし、いつも上機嫌なわけでもないので、やはりソワソワした人がグイグイと引っ張ってくるのは、何やら引いてしまった。

そんなこんなで、最後の段落で、やっと自分らしい文体になってきたと自負しながら、聴きたくもない旅行の話をガンガンされてしまうと、こちらとしてもゼエゼエと息が切れてしまうものだった。それに、自分はこのような、いわばプライベートな電話というのを、年単位で話していないから、もはや免疫抵抗性は無くなってしまっていたのだ。だから、今、通話をしてきてくれた人には失礼だったかもしれないが、やはり、時間という制限がありつつも、自分を抑えて話をするということは大切だ。自分を自分をと前へ押し出してくると、相手はその焦りを強く汲み取ってしまう。そこで関係が破綻してしまうのであれば、それ以上の関係というのは、絶対に続かないのだろうと思ったのであった。

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