思考力

搬送される講師たち

 

人は、新しきを求め、古くなった情報を捨てる。また、マスコミが発信する、度重なる「ネガティブ情報」を受け、最近起こった悲惨な事件や事故を、視聴者の記憶から消し去るかの如く、新しい情報を乱発する。もちろん、それがマスコミの商売なのだから仕方ないし、「新聞」というのは、読んで時の如く、「新」しきを「聞」くという感じで成り立っているのだから、過去の感傷に浸っているような情報発信をすることはしない。熱海の土石流の懸命な捜索活動が、今でも活発に続いている中、そのことに触れているトップニュースは見当たらなかった。

今日は、ゲリラ雷雨の情報。ただ、それを土石流の話とリンクさせて、再生時間を伸ばす動画になってしまえば、YouTubeの視聴者は、得てしてセッカチであるゆえ、視聴者がクリックする回数が激減してしまうわけだ。だから、今後、土砂災害のことを思い出すのは、それによって引き起こされた、孤独な人たちの「ドキュメンタリー番組」程度になってしまうのかもしれない。あるいは、どこかの地で、再び同じような悲惨な事故が起こった時に、思い出したかの如く、過去のデータとして報道されるのであろう。人間は、悲しみに慣れる生き物というより、新しい刺激が欲しくてたまらないようだ。

札幌市が、「マンボウ」を、再び国に要請しているが、もはや、この防止措置であっても、ほとんど「緊急事態宣言」と変わりはなく、猛者から酷暑になっている状態であれ、出歩く人は出歩いていく。私の通っていた高校などは、私立だというのに「クーラー」がないという「ボッタクリ高校」であったが、それでも耐えられた30年ほど前は、まだ地球温暖化は進んでいなかったと解釈できる。ただ、地球温暖化がどうのこうのを差っ引いた状態で、自分の周りを取り囲んでいる環境が劣悪なのであれば、本来進むべき自分の道を再確認するために、眠れぬ夜が開けるのを待つかのように、全く動かないでいるより、とっとと新しい世界に飛び込んでいった方が良かったのだろう。今の時代で考えれば、高校中退など、高卒や大卒と変わりはなく、ビジネスでブルーオーシャンを引き当てれば、成功する人は成功する。

今年は、去年のように、緊急事態宣言で遅れた分の授業を埋め合わせるための措置を取らなくて良いので、長い夏休みをとれる学校が多い。それであれば、人生についてじっくりと家族間で話し合い、表面的な学校の勉強という観点ばかりではない、親子間の生き方の教育を話し合い、未来を考えられるような時間を、積極的に作るべきではないだろうか。夏休みが長くなったからといって、そのぶんを塾に通わせるという短絡的な考えは、ある意味では無駄金だ。受験を意識するだけなのであれば、せめて通塾時間などの時短を考え、オンラインで授業が完結する方法を選択すれば、それで事足りる。さらに、熱中症やコロナ感染の危険性だって、同時に回避できる。

もはや、実教室に行って、わざわざ授業を受けるというスタイルそのものが終焉を迎えている。マスコミが不安を煽っているとはいえ、コロナが蔓延し、昨日は熱中症で93人が搬送されるような事態の中、学校に通う時間と同じ程の時間をかけて、塾に通うだけの授業は、それこそ「終焉」を迎えなければ「ならない」。もはや、教育後進国となってしまった日本。黒板を背にした1人の教師に、20名前後の生徒が黒板に目を向ける「明治時代」から変化していないスタイル。これを、伝統的な文化だというのであれば、ガラケー以前のメール機能すらないケータイを使っているにすぎず、教育先進国に追いつけ追い越せない。教育の発展を目指すのであれば、早急にオンライン教育の普及に移行し、それを積極的に進めなければなければならないと、私は思っている。

これからの日本の教育が、どんどん「オンライン」に移行していくのであれば、小学生であっても「機材」を使いこなせる時代になってくる。そして、オンライン教育にメリットが多くなっていくにつれて、教える側の「ITリテラシー」が強く求められることは言うまでもない。すると、今までにない現象が生じる。ストレスなく機材を使いこなせる若い講師と、機材のセッティングが上手く行えず、無駄な時間ばかりが長くて、十分なサービスを提供できないベテラン講師を比較すると、圧倒的に前者に軍配が上がるようになる。私は、それをいち早く察知しているので、機器の操作に関しては、最新の知識と機材を採り入れることを怠っていない。

今は、事業投資にかける資金で「大赤字」ではあるが、間違いなくそれは未来への投資に直結するに違いないと割り切って考えている。近くでスタッフが寄り添っていなければ、授業ができない講師であれば、すぐさま淘汰される時代がすでに始まっている。熱中症患者の搬送が「激増」している中、半数以上が高齢者。例えは悪いかもしれないが、機材を扱えない半数以上の講師というのは、違う職種に搬送される時代になってしまったのだ。そう考えれば、あと一年程度で、必ず、経験豊富で機材を十分に扱える講師が重宝される時代となる。

5Gをガソリンとして、第4次産業革命に向かうこれからの加速度を増していく時代に、1年が10年のスピードで流れていくと言われている時代なのであれば、そこに、確実に「ブルーオーシャン」がある。そのパイオニアになれる人材でなければならないと私は強く思っている。

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