思考力

孤島で揺れる

 

引越し前のマンションで使用していたエアコン2機を、今の家で、引き続き使用しているが、部屋数が増えたこともあり、寝室の暖房が無く、ホームセンターで「電気ストーブ」を購入し、毎日、眠れぬ夜をしのいでいた。不眠症の自分の助けとなるのは、ヌクヌクのお部屋。寝室の環境ぐらいは整えておかなければ、睡魔様も訪れてはくれない。

今日、目が醒めると、電気会社からの一通のメール。光熱費関係の請求書は、いつも非常に緊張する。何せ、視えないモノに対して費用を支払うわけだから、目減りするものではなく、気にしなければ、「青天井」で上がっていく。毎日、光熱費をチェックする超倹約家でもない限り、なかなか毎日の使用料に目を光らせている人は、少ないと思うが、今日のメールを開いて、目を見開く以外なかった。電気代が「1万円」を超えていたのだ。心当たりがあるとすれば、やはり「ヤツ」の仕業。電力会社にクレームの電話を入れつつも、料金が返ってくるはずはないし、電気ストーブを甘く見ていた自分の責任。案の定、「ヤツ」を家に招き入れたその日から、「電気の大喰い」が始まっていたのだ。前月の2倍以上の金額を請求されていた。可視化できない電気代は、やはり恐ろしい。

結局のところ、餅は餅屋。ホームセンターのスタッフの「電気代がかなりお得になりますよ」という言葉を鵜呑みにしてしまったのが、自分の財布に大ダメージを与えたのだった。素直に、電器店の知識が豊富なスタッフと相談するべきだった。勉強量としては、余りにも高額だ。どのホームページや、ブログを見ても、電気ストーブが「電気の食いしん坊」であることが判明しているのだが、私は、それを甘く見過ぎだった。

目に見えない相手。それは、確かに存在するのだけれども、どれほど自分の存在を認識しているのか。自分もまた、確かに相手に支えられているのだが、相手には、知られていない存在。これは、一昔前であれば、テレビに映し出される「芸能人」「スター」「歌手」であったのであろうが、今では、SNSを通じた目に見えない相手であったり、リアルで会話をしたこともない相手になってきている。ビジネスにおいてでも、電話をして相手の声を聴くこともなく、まして相手の敷地内に会いに行くなんてこともせず完結する時代になった。もはや、電話をしたり、直接会いに行くことが「失礼」とされたり、挙げ句の果てには「バカ」扱いされることもある。

心がこもっていないとかいう議論をしたところで、時代の逆行を求めるだけの話になってしまうので、それは避けるが、個々人が、責任をもって相手と関わる意識を持っていないと、知らぬ間に数字やらデータやらがカンタンに改ざんされることだって出てくる。可視化できない相手に搾取され、責めるべきは、自分という「負のブーメランの回路」ができ上がってしまう。もし、自分が無知であることを放置していたら、相手に不利益を与えてしまうことだって、十分にある。お互いに不利益しか生み出さないのであれば、協力して1つのミッションを遂行して行こうなど不可能。これまた、心がこもっていないとかいう議論ではなく、相手に対して不利益を与えてしまうことや、自分の無知を放置して相手に迷惑をかけてしまうのであれば、再度「負のブーメラン」を喰らう。落ち着いて考えれば、自分の負を克服して相手と積極的に関わろうとすることは、最も「心がこもっている」とも言える。

必要な知識を持ち、自分と相手との「信頼関係」を構築する。時代は、変わっていく。そして、「5G」の流れが「第4次産業革命」に向かって急ピッチで情報を加速化させる中で、無知であることは自分にとっての脅威でもあり、信頼関係を築く能力もないと判断されてしまえば、孤島でブルブル震えるだけになってしまう。そんな人に、今アドバイスをするのであれば「電気ストーブには、気をつけておくといいよ」ということだけだ。

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