思考力

鷹の舞を眺める

こちらの動画を見てくれている方が、スケボーに興味を持ってくださり、来週、一緒に滑ることになっている。それなので、スケボー初心者の動画を観たり、そもそも自分がど素人だった頃の動きを考えてみたのだが、もはや四半世紀前の記憶を引っ張り出すこともできず、結構頭をひねっていた。そもそも、サーフィン練習用のスケボーで、長年やっていることもあり、よく国道を爆音で走っているような改造車ばりのカスタムをしているので、普通のサーファーでも乗れない仕様になっていた。見る人から見れば、完全に「変態ボード」となっているのだ。

そんなこんなで、できるだけ広い駐車場で練習したいと思い、そこまで北上したのだが、やはり土曜の海星の海岸で、波もそこそこ良かったので、駐車場には色とりどりのサーフボード を抱えたサーファーと、様々な車が並んでいた。私は、大の旧車好きであり、そこの駐車場で数ヶ月前に非常に渋いカスタムをした車のオーナーと話をしたくらいだから、やはりその手の車を探してしまう。すると、これでもかと言わんばかりのビンテージ感を出した車が停まっていて、その横に車を停めることにした。

来週、一緒に練習する板を、とりあえず素人でも上に立つくらいはできるように仕様は変更しておいたのだが、やはり持ち主である自分でも、ヒヤッとくる角度に曲がることもあり、今度の練習の時に怪我を負わせてしまわないか不安にもなった。その板を合わせて、今は5台スケボーを所持していて、それを車のトランクから全て出して、大掛かりな「フリーマーケット状態」で滑走しているのだから、それぞれの特性を研究するには、とても比較しやすい状態となる。いたと板の特性を知るということは、その中間のバランス感覚が養われたり、さらに違う板に乗ったときに、かなり乱暴な動きをしても、振り切ってsysyめたりするのだから、とても面白いものである。

すると、一人のサーファーがきて、「スケボーやってもいいですか?」と訊かれ、こちらの乗っている板に乗りたがっているのだかなんだか分からぬまま、その人は自分の板を出してきた。どうやら、同じ場所で滑りたかったようだ。こちらが、何台も並べて滑っていたので、やはりサーファー本能を刺激されたのか、そんな訊かなくてもいいような許可を求めてきたみたいだ。かなり年季の入った板を取り出し、最近は全然滑っていないから乗れるかどうか不安だと言っていた。こちらとしても、少しでも変な動きをしたら、ひとことアドバイスでもしようかと考えていた。

ただ、現実は違っていた。とにかく上手い。「能ある鷹は〜」なんていう格言もあるけれども、やはり多少のぎこちなさがあったとはいえ、十分上手い。ハッキリ言って、自分の力量を超えていた。そんなこんなで、久しぶりに腕の立つ人との会話も盛り上がり、自分の乗っている板を、試乗してもらったのだが、これまた上手に乗っていた。もし、その人があと30分程度練習したのなら、こちらのレベルに追いつくだろうと思えるほどだった。これは、実に悔しい気持ちになってしまったものだった。

ただ、自分には「暴れん坊」が控えている。颯爽と「それ」を差し出し、乗ってみることを勧めると、さすがに遠慮しつつも、恐る恐る乗り込んでいた。この板に関しては、数ヶ月の練習をしている自分であっても扱えない代物なので、さすがに乗り切れてはいなかった。でも、もしこの人がこの「暴れん坊」を乗る練習をしたら、一体どこまで乗りこなすことができるようになるのかは、結構不安にもなってしまった。そして、このような時間をシェアできるということは、同じ「板乗り師」としては、最高に楽しい時間でもあった。

まだまだ日本でも、いや世界でも普及しきっていない「暴れん坊」の板だけれども、今のうちに先行者優位の代物だと思って、ますます動きに磨きをかけていきたいと思った。やはり、このような出会いというのは、人生の質を確実に向上させてくれるものだった。新しい物に触れることも確かに大切なことではあるが、大切にしてきた物を共有できる時間というのも、確実に貴重なことである。今日は、とてもいい日となった。

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