思考力

奇跡を見る奇蹟

もちろん、フラッシュバックは変わらず、自分の心と頭をジリジリと蝕んでくる。正直、こんな状態が未来永劫、継続してしまうのかと思うと、かなりゾッとしてしまう。けれども、未来が少し明るくなっていくこともあり、腰椎分離症だと診断された腰が、実は強い腰痛と、左側の椎間板ヘルニアだということが判明した。もう、コルセット生活からは離脱したので、このままコルセットとPTSDが、仲良く自分の元から消え去ってほしいと思う。トラウマにしても、腰痛にしても、これからどのみち付き合っていくことになるので、安易な喜びや深い絶望を抱かない方がいいのだとも思うようにしている。

今朝、アップルウォッチの振動で目を覚ました。手首の振動というのは、どんな音よりも違和感を感じるのか、「もう朝か」という気持ちで目を覚ました。でも、朝の7時なんていうのは、今の自分にとっては、早朝の中の早朝のような時間帯であり、病院のMRIのカプセルの中での強い眠気と、帰りの車の中での強い眠気も、自分を悩ませる要因となってしまった。だから、自分の心の問題であれ、身体的な問題であれ、極端な話、「睡眠」に起因している面が多いので、この睡眠を中心に生活を考えていくという生き方こそが、トラウマなどの見えない対象へ対する治療なのだとも思う。

帰宅し、仮眠をとり、また海辺へ向かう。もちろん、スケボーを蹴りに行く。もう、海岸で波が崩れるのを観る時間なんてもったいない気持ちで、急かされる感覚に乗り込むように、さっさとスケボーを蹴っている。自分を再起させたスケボーをカスタムし、リサイクルショップで再会したスケボーをいじる。どちらも面白いのだけれども、明日、自宅に届く新品のスケボーに対して、期待で胸が躍る。ハンドルを握り締め、明日の相棒予定の板に、どのようなカスタムをすれば良いのかを考えるたびに、踏み込むアクセルの力も変わってくる。確実に、自分の中で、スケボーを蹴るという行為が、人生の支えとなっていることが分かる。

命を落としかけた危篤状態で運ばれた病院の診察から、一般の人では決して操ることができない変則的な動きをするスケボーに乗る。これは、やはり奇跡的だとしか言いようがない。打ち所が悪かったら、命を落とすか、目玉だけ動かすことしかできない事態にも陥っていたのだ。自分の脚で歩ける悦び。そして、自分の頭でイメージできる軌跡。これらが金備わっている今の状況であれば、多少のトラウマ除去の役には立つのかもしれない。完璧に切除できないのであれば、この癌細胞のような傷口を開かせないように努める。そして、いつかそんな傷口があったということを、誰かに打ち明けられる日が来れば良いと思っている。

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