思考力

チャット返し

受験生を担当するときに、必ず問う質問を、今年担当している教え子にしてみた。「週休1日で1000万」「週休3日で300万」どちらを取るかというシンプルな問題である。その学生は、極端すぎる問題だと言いった。そして、どちらを選んだのかさえ、今となっては思い出せないが、これには1つトリックをかけている。前者と後者のハイブリッド型の選択肢を、自分の力で見つけられるかどうかを試しているのである。

「週休3日で1000万」という、斜めのラインを見つけられるかどうかが、ある意味でこの問いに関してのベストな選択肢のように思っている。また、これからは、企業に就職するという概念が消えてゆき、個人が会社を作り出すような時代が到来するなどの具体的な話をし、その教え子はとてもやる気がみなぎり、その後の授業を受けてくれた。

月給30万の給与所得収入と、1ヶ月に3万の報酬の仕事を10本担当できるのであれば、後者の労働スタイルの方が、圧倒的に有利で安定する時代が、もうすぐそこまでやってきている。もはや、それに気づいている人は、とっとと次の自分で開業届を出して自分の会社を設立している。私だってそうだ。副業から「複業」という時代。企業に属するという考え方が古くなっている今、自分一人が会社を回し、回りきらない部分を外注するという労働形態こそベストなのだ。

人生がつまらなくなる生活の原因のひとつとして、先行きが見えない不安がずっと続くことが挙げられる。ガチガチに凝り固まった大きな企業の中で闇雲に努力をしたところで、先行きの見えない生活というのは、とても苦しいものがある。だから、リスクヘッジという意味においても、インデックス投資のように、複数の職業を跨いでおくということは、重要なことである。

人は、一人では生きていけないが、一定以上の人数で何かをやろうとすれば、そこには手を抜く者が出ることは事実だ。だから、取れる責任は、自分の中で完結できるような仕事の進め方が主流となる時代が、近い将来出てくると思っている。皆が、個人事業主で、ある仕事において、それぞれが一番適任だと思い合え得る個人とタッグを組んで仕事を進める。そして、タスクが完了したら、それで契約は終わる。ドライな関係だと思われるかもしれないが、そのように他人に干渉しすぎないビジネススタイルという形態が、今後のネオスタンダードとなっていくはずである。

一人を恐れずに何かに向かっていけた人にとって生きやすい時代がやってきた。群れていた人間が苦しい時代がやってきた。これこそが、不平等がない本来の仕事や生き方のスタイルなのだと再認識できる前回の授業中のチャットであった。

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