思考力

箱の中のクラゲたち

「一匹狼」なんていう単語があるように、自分一人で何らかの物事を完遂する人。人と群れない。これは、私にとって、とても良い考え方である。表面的には誰とでも打ち解けられるような態度をしつつ、実は根っからの人見知りである私。具体的には表現できないが、どれほど仲の良い関係であれ、心の奥底では、何かしらの不安のような感情を抱いている。そして、誰かとつるんでいる人たちを尻目に、最後に笑うのは自分だと考えている。

別の角度から見た、一匹狼に対する私の考え方であるが、あながち最後に笑うのは群れない人だというのは間違いではない気がする。それこそ、何かに合わせて自分のスタンスを取り崩さなければならないのであれば、自分というもう一人の他者を支えに生きていくべきだ。そうやって自己対話をしていくことが、自分を変えていけるヒントとなるのではないだろうか。もちろん、その為には自分一人の主観的なものの見方に終始するのではなく、他者の視点も考慮に入れなければ、ただの独りよがりのわがままで終わってしまう。それを避ける為には、やはり相対的なものの見方もしなければならない。これは間違いない。

大企業が、音をなして崩れている時代。世界のトヨタが、終身雇用を維持できないことを表明する時代。こうなってくると、何の緊張感も無いまま、大きな船に乗っていることに不安を感じなければならない。仲間と手と手を繋いでいれば大丈夫だという仲間意識を捨てて、一匹狼になるか、人数を切り詰めて生きていける能力が必要となる。高いパフォーマンスを維持する為に、この考え方は非常に大事な心構えになる。

どんな角度で考察するにせよ、迷ったら、一人の時間を大切にすべきだという私の考えは変わらない。誰かと一緒に沈没するのも嫌だし、誰かに無責任なアドバイスをされるのも受け取れない。何かの壁にぶち当たって、人生に実りのない虚構の世界ばかりが生じ、焦るばかりであるのなら、それこそ一人の時間を大切にすべきでは無いだろうか。

人間は、とても賢い動物である。それ故に深く悩みすぎるようになった。そして分かったことは、二次元で完全に一致していると感じる人たちであれ、見る角度を変えれば、密着しているどころが、空間の中では重なってすらいないフワフワと浮いた儚い関係である。それならば、一生離れることのない自分との関係を、いかに濃密に創り上げられるのかを極めていくことは、とても大事なことであるといえよう。

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