思考力

雨降って距離見抜ける

数日前、長いこと音信不通だった友人から連絡があった。音信不通になった主な原因は、話をしている内容が、あまりにも稚拙で、同じことの繰り返し。はたまた、未来への展望などない乾燥した付き合いしかできなくなったと、私が判断したからだ。連絡を切った当時の私は、「効率性」ということを熱心に考えていた時期であり、無味乾燥な時間を過ごすことを、極度に嫌っていた。しかも、自分の中にあるであろう先見の明のような知識を披露したいとも考えていたので、かなりマウントを取りたいと思っていたことも確かなことではあった。

ただ、時は過ぎ去り、繋がるべき人とは必ず繋がるべくして繋がるようで、仏教の用語で言えば「縁」が再来したのだと言える。雨降って地固まるというのであろう。誠の友人関係を築く為には、時にトラブルを経た状態で再度固まるものであり、その後の関係が以前とは違う構えで付き合うこととなる。幼い子犬が相手に致命傷を負わせない為に、甘噛みを通して痛みの強弱を理解できるよう成長するのと同じように、全くの無傷で互いの関係を良好に保つこともできないのと同じだ。

私たちは、いつだって人間関係をやり直せることができる。「すべての悩みは人間関係から生じる」という趣旨の著書がベストセラーになったように、どんな人であれ、悩みがあるということは、どこかしらの人間関係に問題があるのだろう。そこを修復するか否かは、正直なところ、本人次第ではあるが、企業から独立してフリーになった自分としては、この上ない自由を感じていた反面、どこかしらの拠り所が欲しかったところも事実ではあった。

最近、一気に出会いが多なり、今回のように、再会の関係もできた。ただ、ここで一番気をつけたいことは、その場限りの刹那的関係は、ただのその場しのぎの楽しさしか産まないということ。また、そのようなその時ばかりの関係というのは、強烈な依存性があり、またその一時的な楽しさを追求すれば、もはやお互いのための関係は、弾け飛ぶということ。お互いの距離を知りつつ、その範疇を守ること。また、互いに大切にしている部分に踏み込まれたら、警笛を鳴らすこと。それを心に強く留めておければ、必ずオタ以外の信頼関係をキープしたまま、自分の成長の糧になるに違いないと思っている。

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