予定の無い空白の手帳を、ぼんやりと眺めていたら、ワクチン予防接種の日であった。午後5時からの予約とはいえ、時間は有り余っているヤドカリなので、早く行けば行くほど順番待ちも短くて済むと思っていた。もちろん、そんなことはない。一般の診療の後に、ワクチン接種が行われるようで、待ち時間には変わりなく、結局、初めて行った病院の待合室で、1時間以上待たされてしまった。
午後5時といえば、もう日没しており、病院の入り口からも陽が落ちたことが分かる。初めて会う女性医師の対応だったのだが、素晴らしいコミュニケーション能力を持つ医師で、昨今では、腹の中では患者を見下ろすばかりの医者が多いなか、素晴らしい対応をしてくれるドクターだった。説明も丁寧で、今後の副反応の様子や可能性なども懇切丁寧に教えてくれた。いざ注射針が肩に入ろうとする時、いつもは寝ている時間だったということもあり、強い眠気が出ていた。その時に、チクリと痛みが走り、先生も助手も私までもが驚いてしまった。
「コミュ力」なんていうワードを耳にすることが多くなったが、やはり円滑にコミュニケーションをとれる人に巡り合うことはなかなか難しい。逆に、その能力に長けている人には、多くの優秀な人材が近寄ってくるのだろう。接種前に、役所で書類を受け取らなければならない用事があったのだが、その時の窓口対応が、とても高圧的な態度だったので、気分も落ち込んでしまった。その課は、私の事情をよく知っているはずだというのに、そのような対応はないのでは無いかと不思議に思うほど不愉快なものであった。
今日から1週間程度、とんでもない寒波が日本列島を襲う予報。とはいえ、いつも部屋の中で、暖房を付けっぱなしで横たわっている私には、あまり関係ないことなのだろうと思っている。ブログを書きながら熱いコーヒーを飲む。そんな、ささやかな行為が自分の中で幸せだと思えるのなら、無理に外出する必要もなかろう。小さな幸せが逃げていくことは、なかなかないはずだから。