思考力

カタマリアリ

 

視るべきニュースとそうでないニュースという線引きが難しい。動画のサムネイルで、芸能人関係のゴシップだとわかれば、記事を読んでいる間の人生の時間の無駄をしたくないので、意地でも視ないようにしている。ただ、天気予報に関しては、身近な手に入れるべき情報だという判断ができるので、しっかりと視なければと思いつつ、やはり下らぬチャンネルのサムネイルにも惹きつけられてしまう。しかも、クリスマスに寒波が来て、ホワイトクリスマスになるかもしれないなどという情報は、天気予報とゴシップネタが少し入ったハイブリッド型だから、やはり手に入れたい情報にもなる。

大阪で放火殺人事件があり、尊い命が奪われたというニュースが連日報道されているが、そこまで大きな問題になったのであれば、やはり世間一般常識として知っておかなければならない。ただ、それと同じ画面に夜釣りの動画や、いやでもお金が貯まるという謳い文句の動画の誘いがあれば、やはり気になってしまい、タップしてしまうことも多い。やはり、どんなに真面目なそぶりをしていても、私の潜在的な心理状態は、レジャーや娯楽に向いているようだ。そこを見抜かれるのも、なかなかツライものでもある。

そのようなAIのオススメ機能を逃れるテクニックを身につけたいものだが、一般人にはそれをするのが難しく、一般人でなくとも、やはり自分の無意識のうちに流れてくる自分に向けられた魅力的な情報に惹きつけられてしまうに違いない。ここには、努力や辛抱や根性では乗りこえられない「本能」に訴えかけられているゆえ、無理に抗おうとすれば、ド直球のボールを顔面で受け取るようなことにもなりかねない。やはり、AIの語りかけてくる有益な情報という話と、それに耳を傾けたくなる気持ちに歯止めをかけるのは難しく、その情報以外のモノを仕入れようとすれば、情報が錯乱するという事態に陥る。これは、本当に怖い話である。

つまり、オススメ情報を手に入れるための誘惑に勝てない自分を責めるべきではないのだ。自分の撒いた興味関心の種から生まれてきた結果は、素直に受け入れ、そこからムダを削ぎ落とす努力をすべきなのである。酒と同じように、主導権は自分にあるという気持ちを忘れずに、情報の渦に呑まれてはいけないという考え方でいるのが、道徳的な観点からも美しい情報との付き合い方と言えよう。

もはや、日本の衰退が回復し得ないところまで見えてきた。金融の面だけで視ても、下がる円の価値。中国では、自国の人材を雇うより、日本からの労働者を雇った方が「安上がり」という考えも、ちらほら出てきている。それは、ある種の当然な話であり、「働かないおじさん」が、退職まで椅子に座っているだけで高給を手にできるような日本のシステムにも問題は多分にある。規模が多くなれば、熱心に仕事をする働きアリたちも、3割程度は真面目に働かなくなるそうだ。

ここまできたら、会社という大きなカタマリでは手を抜きつつ、個人で稼ぐ力に磨きをかけている方がよっぽどマシなのかもしれない。ただ、私の動画のサムネイルには、いかにしてしっかりとした前向きな姿勢で仕事に取り組めるかという動画が画面を埋め尽くしているから、とりあえず「5時まで男」ということにはならないようだ。

 

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