思考力

漁港の相棒たち

 

明日は、新居の契約と入居の日。もし、時間が押しに押して、ブログを書く時間が取れなかったら一大事なので、今宵は「フライングブログ」でも問題なかろう。朝の光を浴びながら、爽やかに目覚め、スムーズなジャズと淹れたてコーヒーで、リラックスしながらブログを書けるほど、睡眠サイクルが整っているわけではない。新居では、徹底的に入居前のクリーニングをする為に、部屋の至る箇所の掃除用具は、段取りバリバリで、購入済み。普段は、インターネットショッピングなどしないし、最近騙されたというのに、この掃除に命をかけるかの如く、Amazonでポチった掃除アイテムすらある。黄昏時に三葉ちゃんを見つけられなかった瀧くんのような後悔をしない為にも、今のうちにブログを書いて、毎日更新をしておこう。それに、今日だからこそ記しておかなければならない事もある。

では、忘れぬうちに、今日起こった今日だからこそ書かねばならぬことから書く。断捨離に断捨離を重ね、売れるモノはどんどん売却。メルカリに泳がせている商品もある。どんどん出品しようと意気込んで、高値で取引されている置物を出品しようと磨きをかければ、うっかり手が滑って粉々になるなどのアクシデント。気持ちばかりが先行しているデンジャーな状態。まずは己の気を休める為に、九十九里北の海岸へ向かって釣り糸を垂らしに行った。断捨離対象にならず生き残った精鋭の竿は「5本」。ひとつのロッドケースにすっぽり収まった。まるで「シンデレラ」。到着したら、早速一本取り出して、ケースごと椅子の横へ。いつでも竿を交換できるようにセッティングしていた。

それにしても釣れない。今日は、大潮。さっきの『君の名は。』のカタワレドキではないが、「夕まずめ」に満潮という絶好の激アツタイム。ところが、竿はピクリともしなかった。明日は、引越しという大きなイベントがあって、とにかく落ち着かない。早々に切り上げて、明日の家具の配置のイメージ。ここのところ、このイメトレは毎日暇さえあれば行っている。ほとんど修行僧の「瞑想」に近い。もちろん、釣竿は、ケースにリュックにクーラーボックスやタモ網。まぁ、車のトランクの荷物を押し入れに突っ込めば完了だとタカを括っていた。

しかしながら、私は、明らかに浮かれすぎて浮き足立っていた。家に到着し、ラゲッジルームを開いてみれば、ロッドケースがない。裸のまま突っ込んだ竿一本しか車に乗っていない。やってしまったのだ。ロッドケースそのものを、そのまま釣り場に置いてきてしまっていたのだ。精鋭4本が、今は月夜に照らされているのだろうか。それとも、確保されて誰かの手に渡っているのか。「精鋭」と認めたロッドだから、どれも高価なものばかりで、ひとつひとつに想い出と信頼が詰まっている。ミニマリストが実践するモノの減らし方には無い方法の「浮き足立って別れる」なんて動画でもアップしようかとも思う。ただ、母が他界してから「ブログ読み上げ動画」のアップロードをストップしてしまっているので、そんな皮肉なことをしていては、虚しくなるばかりだ。

「平和の象徴」と名付けられるような「時を告げるヤマハのサイレン」が消えていくことに、惜しみの声が多数あるみたいだ。ただ、騒音恐怖症の私にとって、大きな音や、突発的な音というのは、非常にストレスが強い。だから、趣深い音に想いを馳せている人たちもいれば、やっと安らかになれると安堵している人もいるはず。ある場所から、何かが消える。または、自分が立ち去る。そこに対して、悔やんだり引きずったりしていても進歩はない。大切なのは、その後に続くステージや時間の中で、いかに自分を動かしていくかだ。失ってしまった「竿」には申し訳ないが、必要ならば再び帰ってくる。次の相棒となるロッドとの出会いを祈ってほしい。

コロナの新規感染者数が、ますます増えている。豪雨が襲った九州の熊本で、新たに4人感染確認。生きていて欲しかったと思いつつも、遺体で発見される家族の悲しみが続く中、今は、北関東で激しい雨で、冠水や雷も発生中。建築法の「盛り土」の安全性というのは確立されているのか。もしそうならば、その基準をもっと厳格にしていかなければ、次々と土砂崩れが起こってしまう。心当たりのある地域は、すぐに政府に要請し、各地の地盤や建物の緊急点検をして貰わなければならない。

コロナで、若い女性の貧困の実態が特集され、生活苦や返済できない借金に首が回っていない悲鳴が響いている。相次ぐ貧困の渦中、政府は、4度目の緊急事態宣言では、さらに酒類を提供する飲食店に対しての取り締まりを、「単に」強めている「だけ」。取引先の店や金融機関にまで情報をシェアして、酒を提供する店側の動きを封じようとしている。そんな無慈悲なことをするのであれば、容赦無く降り注ぐ豪雨の対策や救助、また、「盛り土」という建物の建て方に、安全性はあるのかという方向に、意識と対策を向けるべきではないだろうか。

漁港で横たわっている私のロッドたち。今は、誰の手に渡っているのだろう。これを引きずることなく、笑い話にして、明日の挨拶回りのネタにしよう。手土産は「洗剤」だけに、水に流す。重要なのは、その後だったな。

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