思考力

適齢に技芸を習得する

人間は、他の生物と決定的に違う点として、脳を発達させ、二足歩行を獲得したという当為的メリットを持つ。ただ、肉体の一部の脳は、他の器官と同じように、ある年齢をピークに発達がストップして、徐々に衰えていく。では、その「脳」の成長過程と、衰えていく推移を時間的に考えながら、学習する年齢に応じた特徴を考えてみよう。

まず、幼少期。私が今、とても注目している「出口汪先生」という予備校バブル時代をトップで生き抜いた予備校界の巨匠が、もっとも重要視している学習時機だ。人間の脳は、発育という面では、小学校に入る前に8割が決まるという科学的根拠があり、この時期を逃すということは、その後の脳の思考回路の効率的な運用に大きく影響する。だから、この幼児の段階での教育には、最も気を張っていなければならず、この年齢で展開される教育は、人格形成にも大きく影響を与える。だから、親は、自分の子供に本を読み聞かせたり、絵を書かせたり、音に合わせてリズムを取るなどの人間がもつ能力を鍛えることが、特に重要になってくる。

小学生に入ると、その6年間で、脳の発達の残りの2割が完了するという科学的データが出ている。ということは、脳の発育というのは、生まれてから12年程度で身を結ぶことになる。そして、小学6年間という期間に学習する内容は、どの教科であれ、生きていく上で欠かせない科目だ。「算数」であれば四則算を用いた考えで、数字という概念から効率的に物事を考える能力が養えるし、その考え方を利用し、自分を取り巻く環境を「理科」の学習で、データとして理解する基盤を作れる。そして、何より「国語」の学習というのは、「言葉」という人間だけが持つ、生涯において欠かせない能力を養成する最重要科目だ。この科目は、全ての教科をまとめ、その分野を理解し、論理的に考える力の養成に繋がる。社会の歴史的事実を深く考察する際にも、重要となり、歴史的な事実が、果たして実際にあった出来事なのか、もしかしたら、何らかの理由でねじ曲げられた虚構の記録に過ぎないのかという深い考察の手がかりを掴むきっかけになる。

中学受験を「お受験」という言葉で処理するだけで、ただのステータスとして塾通いをさせているだけでは、真の思考力の土台を作ることなどできはしない。しっかりと、小学生のうちに固まってしまう脳の可能性を引き出せる重要な期間だと認識し、次の中学校で得られる良質な環境で、多くの経験を積めるように受験の対策をするべき。もちろん、受験をしないで、公立の中学校で3年間の義務教育を受けるのだから、それを十分に、また確実に吸収できるよう、小学校生活の学習を丁寧に受け容れなければならない。

では、義務教育の終わりとなる中学校の3年間は、どのような位置付けであるか。もちろん義務教育なのだから、活きていく最低限の知識を身につけるわけであり、小学校までに鍛えた脳に構築した思考回路を土台の拠り所とし、知識を組み合わせることで、論理的に問題を対処し、それを解決する能力を育成する時期だと私は考える。出口汪先生の意見では、小学生での漢字学習は、意味を理解する訓読みの学習をし、中学生になったときに、二つ以上の漢字を合わせてできた文字の音読みを理解することだとおっしゃっている。やはり、小学校で学習する内容は、その後の学習に大きな影響を与えることがわかる。さすが、国語の先生の意見だ。漢字という観点から、小学校での学習と中学校での学習の対比を的確に突いている。

文部科学省の調査では、高等学校への進学率は「97%」であるので、高校での学習内容が、どのような位置付けであるかも考えるべきだ。高校は、義務教育ではないため、必ず「入学試験」をパスし、自分が進学する学校を決める。そこでの3年間の学習環境は、個々人によって様々だ。勉強が苦手な生徒もいれば、さほど苦痛ではない生徒、勉強が好きで成績が優秀な生徒。高校に入学する際の学力差をなくすためにあるのが入学試験であり、その入学試験で合格した同じような学力の生徒たちが学習をするわけだから、授業内容も進度も大きく変わってくる。そして、大学に進学する際は、特に、授業の質や、入試に対応したカリキュラム編成が必要となり、その高校のシステム自体も非常に重要視される。

大学受験と高校受験の大きな差異としては、受験する者の学力差だ。高校進学率を考えれば、日本の中学生は、ほぼ全員、高校受験をするので、高校受験の偏差値は、学力差が大きくなり、大学受験の基準のそれと同じではない。高校に入学して大学受験をしない高校生が多く出る中、大学に進学するために学習してきた「お受験組」が再度参入するので、義務教育の範囲内で学習しただけの高校生と、大学入試を視野に入れて独自のカリキュラムで中学3年間を過ごした中学生とでは、大きな学力差が出る。この事実を知らないと、高校入試組が、初めて受ける大学入試の模擬試験を受けたときに、ショックを受けることになる。入学後に最初の「ハイレベル模試」など受けると、高校受験のときの偏差値などは、全く当てにならず、自分の偏差値が一気に下がり、大きく落胆する。当の本人が見つめなければならない現実を知るためには、客観的データに基づく動かざる数値である偏差値を、謙虚に受け入れなければならない。ここで奮起できる者は強い

幼少期から、高校卒業までの学習の流れや、その時期別の重要性を考えてみたが、その時期ごとに、それぞれの学ぶ指針や特徴が違う。ただ、どの学年であれ、質の良い学習をすることが最重要であることは、共通している。つまり、一部の秀才を除くと、多くの人たちは、学校以外の環境での学習の機会が効果的であり、その差異たる場所が「学習塾」である。ただ、コロナの影響で、日本の教育システムは、遅まきながらスタイルが変わり、リモート教育へと推移している。学習塾で対面授業をしていた私は、この流れは、とても良いことだと思う。通塾時間やフレキシブルな授業時間、また、学力に応じて自分の学習計画を考えられ、さらにサポート体制も充実しているリモート教育の授業がほとんどだ。従来の非効率極まりない通塾スタイルの塾のスタイルと比較すれば、リモート授業の「そつのない体制」に向かう流れは、止まるわけが無い。

 

ここで、このようなスタイルが今に始まったことかと思うと、実はそうでもなく、インターネットがないような私が学生時代には「通信添削」というスタイルがあった。私も利用していたのだが、意思の弱い私には向いていなかったが、言うなれば、これも十分立派な「リモート教育」。もちろん当時のように、仕上げた課題をポストに投函して、その到着を待つという原始的なやり方は絶滅している。しかし、そのような通信添削授業を行なっていた会社が、「現代版通信添削」を行なっており、幼児から高校生まで対応するリモート授業をしており、投函して何日も待たなければならなかった時代を超越して、リアルタイムで添削してもらえる時代になった。なんとも、文通のタイムラグは、想いを強くするが、通信添削のタイムラグは、意欲を低下させることが多い。やはり、現代の返信の早さは、学習者と指導者を「劇的に」縮めた素晴らしい指導に役立っている。

 

 

 

かつてから「リモート授業」をしていた「ベネッセ進研ゼミ」のリンクを貼っておきます。

 

 

 

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