思考力

長い道のりを歩む友

100年以上語り継がれている名著『バビロンの大富豪の教え』。現在では、漫画版も出るほど絶賛されている。この現象は、なぜ生じているかを考えると、答えはシンプルで、この資本主義社会を生き抜くためのヒントが詰まった教えが明記されているからであり、特に日本国民を震え上がらせた「老後2000万問題」をどのように解決するかを具体的に考えるにふさわしい教訓が諭されているからでもある。いたずらに恐怖を感じているだけではなく、しっかりとした経済的危機に直面したときの防衛機制を前向きに考えるべきだ。

この教えが「7つの極意」に分かれていることをご存知の方も多いと思うが、改めて列挙してから考えてみよう。【①財布を太らせる②出費・支出を管理する③貯めた資金を増やす④財産を損失から守る⑤住まいを有益な投資対象とする⑥将来の収入源を確保する⑦自分のスキルを上げる】この7つの区分けを資する。①に関しての具体的な行動は、収入の1割を貯金すること。まず、収入用の口座を用意して躊躇なくそこに入れる。②は、節約術を考える。固定費の見直しに当たる。③は、投資。これに関しては具体的に後述する。④は、詐欺師に注意。⑤は、不動産投資にあたるのだろうが、住む場所を変えるという意味で、環境を変えると定義する。⑥は、仕組み構築型ビジネスをする。最後に、⑦は、もちろん稼ぐための知識や技術を習得することといえよう。

特に会社員の場合、一定の収入しかない、もしくは、収入が下がってしまう危険性は十分に考えられる。だから、「副業」というトレンドワードを考え、①の収入経路を考えておく必要がある。9時5時で働いた後に、労働収入を得ることは、時間的にも体力的にも苦しいため、⑥のように、体を休めていても収入が入る経路を確保しなければ、やっていけないだろう。1日の時間は、皆等しく平等。24時間であることに変わりはない。ただ、休みの日やスキマ時間を、利用してブログや動画を撮ったり、愚痴を言わずに有益なツイートをできるだろうか。少なくとも、会社員をしてストレスのカタマリだった私には不可能だし、一日中ブログを書くことや、SNSのことがアタマを支配していて、他を考えられない不器用な私には、やはり無理だ。本業と副業で、器用に仕事をこなしている方に、私は本当にリスペクトを贈る。

世の中には、収入が高くなっても、生活が苦しい人がいる。そんな人は、収入に応じて生活水準レベルを上げてしまうから、お金に困ることになる。多分に漏れず、過去の私だ。昔憧れていたアクセサリーをジャラジャラと買っていても、それは自己満足というより、見栄を貼っているだけであり、そんな見栄を見てくれている人などいない。仮にいたとしても、出会ったら一過性の熱病のような付き合いしかできずに去っていくような人ばかりだった。つまり、収入が増えたところで、②の支出管理を怠らず、特に「固定費」に関しては、一円単位で見直すべき。お金持ちほど「格安SIM」を利用しているという面白いデータがあるのだが、削減できる余分な支出を考えられる賢い人だから金銭的に苦労しないわけで、財布から知らぬ間にジャボジャボ出ている出費に気づかなければ、それに気づいた④的な人に全て持っていかれる。今、このブログを書いている人も、そんな苦い経験をしている。

実は、この無意識のうちに垂れ流している「ジャボジャボ」を意識的に穴を防ぐだけで、かなり資産が増えることに気づく。どうせ消えていたおかななら、消える前に遣ってやれば良い。光熱費、通信費、食費、はたまた⑤の住む場所を変えて家賃を見直せば、かなりの経費削減となる。住む場所や環境を変えれば、必然的に付き合う人も変わるわけで、④な邪悪なヒトと距離を置くことができる。ただし、移動するときの仲介役の業者が④であることが多すぎるので、最細の注意が必要でもある。①が困難であっても、多くの人が意識と工夫次第で②から③の投資に回せる。

 

日本政府も「年金は個人で、労働できないなら投資で資金を増やしてください」と宣言しているようで、「iDeCo」や「つみたてNISA」などの非課税制度を用意してくれている。社会保険料が何なのか、どうしてジワジワと金額が増えているのかを考える時間もない。「知は力なり」というが、やはり「知らぬが仏」の人から搾取するのが、上の人たちのやり方である。最近、金融リテラシーが上がってきている人が多くなっているようで、資本主義の計算式を理解できている人たちが、⑥のビジネスを本業にできるチャンスを得るために、⑦のスキルをどんどん上げている。ウィルス騒動で、乗り掛かった船が沈没しようとしていることに薄々気づいているのだろうが、人間の脳ミソは、新しいことを始めることを恐れるように、太古からのDNAが刻み込まれているのだから、変化することに恐怖を感じる気持ちは理解できる。しかし、時代そのものが変化しているのと同様、ワークスタイルも同時に変化しているのだ。

 

『バビロンの大富豪の教え』から学べる現代人にとって一番大切なことは、まさに「③投資」だと私は考えている。そのときに、短期投資などというギャンブルではなく、しっかりとした仲間と共に、投資を行うべきだ。「短気は損気」とはよく言ったものだ。その仲間とは「時間」。今は、絶対に裏切らない「時間」という仲間を親友にすることが不可欠だ。具体的には、リターン4%で20年積み立てられたら「12225699円」となる。漢字で書くと「一千二百二十二万五千六百九十九円」。すると、老後2000万問題解決まで、あと「800万」程。ここで、寝ててもお金が流れてくる仕組みを構築しておけば、800万円達成して「セミリタイア」も可能になりそうだ。

 

その仕組みを確たるものとするために、日々“⑦”の稼ぐための知識や技術を習得する努力を怠らないようにしよう。

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