思考力

底辺を視る人の行方

はしがき

本講座は、徹底的に、英語の基礎力を鍛え上げることを目的としている。やるからには中途半端にしない。何事においても、ダラダラやっていると、上手くいかないどころか、やっている本人でさえ嫌気がさして、全てストップしてしまう。やるからには、徹底的にやる。その方が、やっている本人も、いつの間にか、夢中になっていて、楽しいとさえ感じることもできるはずだ。

レギュラーの授業で、「泳ぎ方」を教えているとすれば、本講座では、「泳ぐ練習」を徹底的に訓練すると考えてもらえばいい。その訓練をいかに効果的に行うかを考えて、最高の練習場を用意した。指示通り授業を受ければ、確実に英語の基礎力が完成し、しかも高いレベルに到達できることを保証する。

使用する教材は、全て講師(私)が、厳選した、中学一年の文法力だけで理解できる英文のみを扱う。ひとつの英文に対し、ひとつの文法事項の解説を加え、できるだけコンパクトに情報を得られるように授業を進める。回を重ねるごとに、同じような文法事項が重なってくるはず。そこを確実に身につければ、中学一年の文法事項は、完璧になるように構成している。

基礎を固めるためには、徹底的な演習が必要。この講座では、演習に重点を置く。そのための演習用テキストも万全に用意した。存分に演習をしてもらう。解説と演習の反復で、お互いに火花を散らそうではないか。

また、さらなる自宅用の復習用教材も用意してある。音読の重要性は、授業で語るが、とにかく授業で得た知識を、書きまくり、読みまくり、最後は、音読で固める。最終的に、全ての日本語をスラスラと英作できる自分を想像してほしい。たくましい自分が待っている。やる気と筆記用具を持って授業に参加してくれることを望む。(脱落しないでね♡)

 

授業の流れ

10個の英文を1セットとして、一文を6つの角度から考えていく。

  1. 「授業使用テキスト」で、文法の解説を受ける
  2. 「空所補充(英語→日本語)」の演習
  3. 「英文」プリントで、単語の解説
  4. 「空所補充(日本語→英語)」の演習
  5.  講師音読→「英作文」
  6. 「英文」で、自己採点。(一語一句完璧に書けている文のみが正解。部分点無し。)

 

自宅復習の流れ

  1. ノートに、「授業使用テキスト」で学習した文法事項のポイントをまとめる。
  2. 「英文」を使用して、一週間で、30回を目標に音読する。
  3. 次回、前回扱った英文の英作文のチェックテスト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上記の文章は、英語救済措置のオリジナル講座テキストの“はしがき”。「名詞?」「be動詞?一般動詞?」……?中一の秋とはいえ、全く英語ができない生徒たちを対象にした、当時配属の校舎長からの授業依頼だった。ただ、基礎クラスからだけではなく、英語に自信のある、標準クラスの生徒たちの参加も認めていた。

そこで、私は、授業をするたびに、徐々に強い憤りを感じるようになっていた。英語、いや、勉強すること自体に自信を失いつつも、なんとかして自分を奮い立たせようとする生徒に対して、嘲笑や、暴言に近いようなことを、小さな声でヒソヒソと言葉を交わし始める生徒達が出てきたのだ。震える声で答えても、的外れな事を言ってしまう生徒に、「何?今のギャグ?」「どこまで終わってるの?」という容赦ない言葉。さらに、レベルの高いトリビア的な質問をして、私にまで噛みつき、授業が混乱し始めていた。

すると、他の講師からの伝言で、「佐藤先生の授業は、講義形式だから、やり方を変えてほしい」「授業の合間に休憩させてほしい」などという甘えた発言を、間接的に伝えてきたのだ。さすがに、憤怒し、伝言してきてくれた講師に、「二度とくるんじゃねぇ、と一語一句変えずに伝えてください!」と言い放った。

数日後、校舎長に呼び出され、2件の強いクレームが入ったので、詳しく事情を説明するように言われた。私は、事の詳細を伝え、私から謝る気は無いと断言した。勉強で遅れをとってしまった生徒を救済する講座で、授業のやり方に文句を言うだけでなく、休みが欲しいと言い、学習が遅れてしまった者を嘲り笑う輩を、教室に入れるつもりはないと思っていた。「校長である私から詫びを入れておく」と言われたが、反射的に、「謝る必要なんてないと思います。向こうが悪いのですから」と強く反論した。

 

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私は、常に、自分のことを、「職人」だと思いながら授業をしている。作らなくてもいいプリントを、大量に作り、文字のフォント、サイズ、行間まで徹底的にこだわりを持つ。自分が納得できなければ、自分が納得できる授業などできるはずはない。最高のステージで、最高のパフォーマンスをするためには、「職人」としてのプライドを捨ててはいけないと肝に命じている。後に、その校舎長とは、揉めに揉めた挙句、「校舎異動」を勧告された。「うちに職人は、要らない。従順に働く講師が必要だ」という言葉で、一瞬にして、全てが空に飛んだ。そんな感じだった。大切に育て上げ、最後まで見守っていたい生徒だってたくさんいた。強い絆で結ばれるような、師弟関係をとっくに通りこした、人と人が結びつき、同志として向き合えるようなクラスもあった。でも、タテ社会の命令に、下の人間の意思など関係無く、直属の上司の決定は絶対なのだ。それだからこそ、歯車の一部になってはいけない、「職人」でなければならないのだ。そこを崩すことは、絶対にできないのだ。

自己克服を目指して自身を奮い立たせようとする者を笑う。「偏差値」という小さな枠でしか使えないモノを武器にした、醜い攻撃。笑っている者同士の間に、得体の知れない黒い空気が流れていた。模擬試験の点数と人間性には、何の関係もない。苦しみつつ這い上がろうとする者を囲みながら、手を繋いで回っている。やがて、自分自身が見えなくなり、目が回った頃には、タテ社会の中で、身動きが取れなくなる。暗闇の中の黒い影などは、すぐに消えて無くなってしまうのだ。

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