思考力

崩れゆく船を抱っこする人形

溜まりに溜まった負債。入ってきた臨時ボーナス13万円は、延滞していた支払いの返済をすれば、たった二日間で、瞬く間に無くなってしまった。生保で運転できなくなった車の代わりに、これから必需品となる自転車だけは、確実に購入することができた。以前のボンボンだった私なら、5千円の差であれば、迷わず高級グレードの方を買っていたが、借金まみれの今の私は違う。結局は、5千円高いモデルを買ったのだが、自分のお財布事情の冷たさが、如実に伺える迷い方であった。

浪費家で、何でも買ってもらえた自分にとって、これだけ生活レベルが下がってしまうと、人一倍苦しさは倍増すると言ったところ。今、貯金が数千万あったとしたら、私は倹約家になれるのだろうか。今、カツカツのお財布事情の私は、今の生活水準をそのまま維持することはできるが、やはり浪費家の考え方や行動様式が完治しない私は、下らぬ贅沢品をバンバン購入して散財してしまうのだろう。そう言った意味では、今のくらいの生活の苦しさは、ありがたく前向きに受け入れるしかないのかもしれない。

この世は、いろいろな選択肢で溢れている。特に、私が住む日本という国は、とんでもない不況が継続し、それが回復しそうにもない。高齢者を支えるのが、現役世代1.5人という「肩車」的な状態での生活を、これからは、もっともっと社会的に強いられることになる。これに対して全力で抗うかの如く生き抜こうとするのであれば、自分自身を潰してしまうことになりかねない。いや、きっとそうなる。これからの厳しい日本で生き抜くため必要な技術というのは、逃げるという術でもあると、私は考える。また、辛くなったら遠慮なく休むことも大切だ。メンタリティーのダウンで地獄を見るよりは、よっぽどマシだと思う。

思考停止の状態で、これからの日本の会社に属するというような「ぶら下がり人形」のような、社畜的生き方を続けるのであれば、停滞している日本の経済をさらに悪化させ、自分の生きる道を、さらに厳しいものにしてしまうことになってしまう。人生100年時代と言われている中、どんどん衰弱する日本と共に弱っていく自分。どんなサプリを摂取して健康的に長生きようとしても、給料日に一気に残高がなくなったり、贅沢品が欲しくなったり、上がらない生活水準を嘆いているような状態の私なら、生きながらえて死んでいるような状態になりえない。少なくとも、お金の知識を確実に身につけ、少ない労力でお金を循環させられるだけの仕組みを構築させていきたいものである。

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