思考力

水の億万長者

 

昨日、横浜にいる兄が、母の遺骨と祭壇を引き取りに来て、旧居にある最も大切なものは、無くなった。毎日少しずつ、旧居と新居を行き来しながら、母の遺影に向かって手を合わせ、必要な荷物を車に乗せる。引越し屋を介さずに、自力で引越しをして経費を浮かせるので、一度に運べる荷物というのも限られてくる。ただ、新居には一カ月ほど行き来を繰り返しているので、いつのまにか荷物は新居の方に多く移動していて、さらに断捨離を重ねて行けば、ワンルームであっても、十分暮らせていたことに気づいた。

結局のところ、会社員の時の家賃などは、家具のために支払っていたようなものであり、廊下や部屋のスペースを「ギュッ」と縮めれば、使用する面積は、ほとんど不要だったことに改めて気づく。新居の部屋を見渡せば、自分が使用している物の所在地が、すぐに分かる。いわば、謎のポケットばかりの馬鹿デカイ鞄を持ち歩いくことから、ポケットがほとんどないコンパクトな鞄を買い直したという表現がふさわしい。今のところ、とても快適である。

しかしながら、最近は、スマホを代表として、物を紛失することが多い。紛失といえば大袈裟だが、どこかに置き忘れることが、しばしばある。コレは、暑さと疲労からくるものなのか。光回線が新居に導入され、業務用のホワイトボードと机の運搬が終われば、旧居を完全退去できる。無駄な出費を抑えて、快適な移動ができたのであれば、その間に色々と無駄な動きをしていたとはいえ、それはノーカウントとして、納得しよう。

現在、フリーランスとして生活している私ではあるが、安定とは程遠い状態で、昨日、やっと振り込まれた給料がなければ、今日の食料を確保することもままならなかった。ただ、個人事業主として外注の仕事を受けていると、かなり面倒なこともあり、LINE Worksなるアプリ内でのチャットで連絡をする会社の場合、未読の連絡が何十通も表示されていることもある。こうなってくると、あまり業務に関係のない、他人の雑談であっても、わざわざ目を通さなければならなくなり、非常に面倒だ。

人間の本能で、電話の着信音や未読通知などは、何かの報酬か危険かという反射的反応をするように仕組まれているというが、このような連絡ツールの中で行われる、あまり業務に関係のない話で、こちらの神経をそらされてしまうのは、いかがなものかと思っている。あくまでも、個人事業主としての業務委託契約なので、その通知に反応しなければならない義務はあると思うが、常時、こちらの生活に負荷のかかる影響を与えてくるのは問題があるのではないだろうか。

ただ、このような業務委託契約の中でのトラブルも多くなっているようで、口頭だけのやりとりだけで、書面やメールを交わしていないで、フリーランス側が泣き寝入りしなければならないケースも多いようだ。もう、私が20台半ばに起こした、底なしの鬱の奈落の底に突き落とした学習塾に対する「調停」の調停委員の決め手となった「今は、証拠対証拠の時代」というセリフは、今でも健在だ。たしかに、言った言わないの争いとなったときに、証拠がなければならないこともそうだし、後に、10年以上の戦いとなった役所との闘争劇において、個人が大きな塊に敵うことはないということも理解できた。

先ほど、オンラインの授業で、「助動詞」の解説をした。今、こうやってブログを書いていると、政治家のセリフには、“must”がない。“may”ばかりだ。会見で、断定的な表現をすれば、そこを突かれる。だったら、将棋の王将の逃げ道を確保するかのように「曖昧な表現」で終わる。そうすれば、「記憶にございません」というセリフにつなげることが容易になる。そうやって、いつでも「上」は「下」に釈明をし、下の不満は爆発しても、上には届かない。このコロナ禍で、国民がイライラし、それでいてステイホームを指示されるのだから、痛ましい事件が起こるのも無理はない。さらに、避けられぬ自然災害のダメージをモロに受ける可能性だってある。

japan。あぁ、japan。この先細りの国の中で、自分の生き方を模索するのは、どんどん難しくなってきている。ただ、当たり前のように生活している中で享受できている日本の恩恵だって忘れてはいけない。女性ばかりではなく、男性であっても夜中に一人歩きできたり、酔っ払って地面に寝込んでも、ポケットに財布が残っていたり、蛇口をひねれば、ペットボトルの水より水質を調査された水を飲むことができる。これは、本当に恵まれた国だ。

20世紀は、石油の取り合いになった。21世紀は、水の奪い合いになるとの予測もある。今から貯金して、日本にダムでも作れば、億万長者。仮に、そうなったら、どこかの国の暗殺者に殺されてしまうだろうに。次次回の授業の文法項目は、「仮定法」だったか。私が鳥だったら、あなたのところへ飛んでいけるのに。その「あなた」が、今のところいないので、無駄な出費は抑えられている。そういった面でも、とても恵まれているようだ。

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