思考力

ピンクの像

一富士二鷹三茄子。Macのキーボードを叩いて、この一行が、一発で変換された。やはり、日本人の「迎春意識」は、とても強いようだ。私は、「春眠暁を覚えず」という、これまた一発で変換できた一行を、心待ちにしている。

 

毎晩、眠剤を飲みながら、いまや遅しと睡魔を迎えようとも、そもそも睡魔そのものが居眠りをしているのか、不眠不眠、「とにかく不眠の春はあけぼの人間」だ。センシティブな人間であり、何処か旅行へ行こうものなら、耳栓を三半規管手前ギリギリに突き刺して寝る。でも、寝相が恐ろしいほど悪く、私は目が覚めて、布団が身体に乗っていた試しが、今までの人生で一度たりともない。必ず蹴飛ばしていて、布団は、部屋のコーナーに追い込まれている。この時期の毛布は、力の限り愛を込めて羽交い締めにして愛してやっているようだ。奥さんでも寝てようものなら、私は、聖なる初夜に「人殺し」となってしまう。

SPLASH

あぁ、穏やかに眠ったのは、いつだろう。確か、大学二年の人生最初で最後になるであろう海外旅行のバリ島だろうか。波に乗って、ガイドと夜な夜な飲み歩いて、宿に帰って溶けるように眠った。やはり、海外旅行は、キッカリとスケジュールが決まっていて、1秒たりとも無駄にしたくはないと言う気持ちが前に出て、気持ちが前向きになる。時差の関係でも、バリは、地理的に時差ぼけの心配がない。何気に、高校二年の修学旅行では、アメリカに行ったのだが、高校生の活力で、行きは元気、帰国後に、恐ろしい時差ぼけを経験していた。今では、眠剤を調整して、毎日毎日、日本国内間時差ボケを意識しなければならない。あぁ、日本にいるのに、時差ボケを心配しなくてはならないのはツライ。

ため息をつきながら、キーボードを叩いていたら、テーマを見失いそうになったが、この記事の最初のセンテンスを見て、何の話だったかを思い出した。「初夢」の話だ。とにかく、最近の寝つきは悪い。寝ている間に、自分で呼吸を止めている。別に、ひどいイビキをかいているわけでも無いし、睡眠時無呼吸症候群でも無い。悪夢の中で息を止めていて、「カッハッッウ」のような呻き声で目が覚める。一歩間違えたら、「死因、悪夢」となる。最近は、眠ることそのものが恐怖で仕方ない。昨年見た恐ろしい夢の一つに、多摩川で鯉の投げ釣りをしていたら、真っ黒いカラスが悲鳴を上げて針にかかっていて、その2つの目ん玉が、「×」(ばつ印)になっていたのだ。やはり、「カッハッッウ」で目覚めた。シャレにならない。千葉に引っ越して、精神的にも不調だった時に処方された新薬で、どうしても眠りが浅くて悪夢ばかり見るモノがあり、どんな薬なのか検索したら「副作用、悪夢」だった。何のために飲んでいたのだろう。私の主治医は、非常に腕の立つドクターなのだが、たまに茶目っ気を出して意地の悪いことをするので、その点では、警戒しているのだが、この薬の治験にしたのであれば、明らかに思いやりがない。どこかの口コミで、薬の処方は的確だが、思いやりのない発言が多いと書かれていたが、この薬に関しては、思いやりのない言動が全てと言えよう。ちなみに、その薬を服用していた時のサイアクの悪夢は、ピンクの像に追いかけられ、袋小路になったところで、その像が、雄叫びと共に、実家を体当たりで破壊していくのだ。こんな、ゲーテもビックリの夢を見ることができる私は、そろそろ遺作を案を練っておかねばならぬのだろうか。やはり、「カッハッッウ」。

 

あぁ、夜が来てしまった。新年早々、見たはずの初悪夢は、内容こそ忘れたが、あまりいいものではなかった気がする。寝てみる夢に関しては、目が覚めると忘れることが多いので、タチが悪い。玄関のチャイムを鳴らされて、逃げた相手のカケラもないような、しかも、チャイムが鳴っていたのかと、自責の念に駆られてしまうような気持ちになる。最近は、ハッキリと窓が開いた音がしたので、飛び起きたのだが、家の全ての部屋の窓が、キチンとしまっていた。

 

あぁ、病院へいこう。

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